楠瀬常猪

楠瀬常猪：広島復興に尽力した知事、その生涯

楠瀬常猪（くすのせ つねい）は、1899年2月10日に生まれ、1988年6月18日に没した日本の政治家です。彼は広島県知事（官選第39代、公選初代）と参議院議員（1期）を歴任し、特に戦後の広島復興において重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期の経歴

楠瀬は広島県で生まれ、1923年に東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。その後、商工省に入省し、課長、燃料局長官、中国地方行政事務局長官などの要職を歴任しました。これらの経験を通じて、彼は行政手腕を磨き、国政における知識と経験を蓄積していきました。

広島県知事として

1945年、楠瀬は第39代官選広島県知事に任命されました。就任直後、広島は原爆投下によって壊滅的な被害を受けており、その復興は喫緊の課題でした。楠瀬は直ちに戦災都市復興協議会を設置し、都市の再建に尽力しました。彼は、焼け野原となった広島の街の復興計画を策定し、市民生活の再建に向けて奔走しました。1947年3月まで官選知事を務めた後、同年4月5日に行われた初の公選広島県知事選挙に出馬し、中井正一らを破って当選。初代公選知事として、引き続き広島の復興に尽力しました。

知事在任中には、昭和天皇の戦後巡幸があり、楠瀬は随行役を務めました。天皇の訪問は、被災した人々に大きな希望と勇気を与え、復興への機運を高める上で重要な役割を果たしました。

参議院議員として

1950年、楠瀬は参議院広島地方区の補欠選挙に出馬するため、知事を辞任しました。自由党から出馬し、見事当選を果たし、参議院議員となりました。しかし、1953年の第3回参議院議員通常選挙では落選し、政界を引退しました。短い期間ではありましたが、国政の場で広島の復興と発展のために尽力しました。

その後

政界引退後も、楠瀬は社会貢献を続けました。1970年春には、長年の功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました（勲三等からの昇叙）。

1988年6月18日、楠瀬常猪は心不全のため89歳で亡くなりました。その功績を称えられ、死没日をもって従四位から正四位に叙されました。

親族

楠瀬の妻、幸は治水技術者である真田秀吉の長女です。また、武田薬品工業社長の梅本純正は義理の息子にあたります。

楠瀬常猪は、戦後の困難な時期に広島の復興に尽力し、県政の基礎を築いた人物として、その名が刻まれています。

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