極地メダル

極地メダル

極地メダル（きょくちメダル、英語: Polar Medal）は、イギリスの君主が顕著な功績を収めた探検家に授与する名誉あるメダルです。1857年に北極探検を記念する北極メダルとして始まり、その後1904年に現在の名称に改称されました。このメダルは、南極及び北極地域での知識拡大に寄与した人々の努力を称えるものとして、長い歴史を持っています。

歴史的背景

極地メダルの起源は、19世紀に遡り、最初は1830年代に北極での探索に関わった功績を称えるために授与されました。特に1857年、イギリス海軍は、特定の探検活動、特に1847年に行われたフランクリンの北極遠征の捜索に関連する功績に対して、このメダルを授与しました。女王はこの命令を下し、北極地域における探検全般に携わった者に対して表彰を行いました。

最初の授与は1857年から1876年にかけて行われ、その後1904年にはロバート・スコット大佐のディスカバリー遠征に従事したメンバーたちにもメダルが贈られました。この後も、アーネスト・シャクルトン率いるニムロド遠征（1907年〜1909年）や、1914年から1917年にかけての帝国南極横断探検隊に参加した者たちも、極地メダルを受章しました。

1968年までは、英連邦諸国の南極探検隊において、参加者全員に極地メダルが授与されていましたが、その後の制度改訂により、個々の業績に基づく評価が重視されることになりました。

このメダルは、両極地域での知識向上に貢献した英国国民や、厳しい環境下での探検活動において特筆すべき道義を示した者に対して授与されます。また、特に困難を克服した探検活動への貢献が評価されるケースもあります。これまでに南極探索に関して880個の銀メダル、245個の銅メダルが授与されており、北極に関しても73個の銀メダルが認められています。さらに、何度も極地探検に参加した受賞者にはメダル・バーが付与されることもあります。

メダルの意匠

このメダルは八角形の形をしており、白色のリボンが付いています。初期の北極メダルの裏面には三本マストの船が氷に閉ざされた様子が描かれていましたが、1904年以降は新たにアーネスト・ギリックによって、ディスカヴァリー号を背景に橇を曳く人々の姿が描かれるデザインに変更されました。表面にはその授与時の君主の肖像が刻まれています。また、1939年以降はすべてのメダルが銀で作られるようになりました。なお、銅メダルは南極遠征の救助活動のメンバー専用に授与され、北極探索に関連するものではありません。

他国のメダル制度

オーストラリアでは、1987年から独自のオーストラリア南極メダルを導入し、極地メダルに替わる栄誉として授与されています。また、ニュージーランドでも1996年に栄典制度を見直し、極地メダルの授与対象から外れ、自国のために特化したニュージーランド南極メダルを設けることが決まりました。このメダルの名称変更は、同国の南極での活動を反映したものです。新たに制度化されたメダルは、2006年にニュージーランド女王によって正式に承認され、その後もさまざまな功績に対して授与されています。

極地メダルは、探検の歴史とそれに従事した個々の功績を称える重要なシンボルとして、今もなお多くの探検家たちの努力を認める存在であり続けています。

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