榎枝慶之輔

榎枝慶之輔の生涯と空手への貢献

榎枝慶之輔（えのえだ けいのすけ、1935年7月4日 – 2003年3月29日）は、日本の松濤館流空手の著名な武道家であり、空手の技術と精神を広げるために尽力した人物です。彼の教育活動と武道家としてのキャリアは、空手を愛する多くの人々に影響を与えました。

日本における初期の活動

九州に生まれ育った榎枝は、若いころから剣道や柔道、さらに野球にも挑戦していました。特に柔道においては16歳で二段に達し、その後の進学先である拓殖大学では空手に出会いました。大学時代、彼は空手のデモンストレーションを目にし、その魅力に心を奪われることになります。卒業後は、日本空手道協会（JKA）の本部道場である中山正敏のもとで修行を重ね、加瀬泰治の指導の下で組手の技術を磨きました。

彼は1961年に素晴らしいトーナメントでの戦績を残し、1963年にはJKA全日本選手権で優勝を果たしました。この頃、彼は「トラ」というニックネームを手にし、名実ともに実力派選手としての地位を確立しました。

イギリスへ渡る

1965年、榎枝は空手を国際的に広めるというJKAの施策に従い、白井宏や金澤弘和、加瀬泰治らとともにイギリスへ渡りました。彼はリバプールで空手の指導を始め、その後、妻のレイコと共にキングストンに定住しました。また、彼の活動はイギリスの武道界において大きな影響を与え、1973年にはBBCの生放送で空手デモンストレーションを指揮しました。このデモでは、様々な技術や精神性を披露し、空手の理解を深める一助となったのです。

榎枝はその後、KUGB（全英国空手連盟）のチーフインストラクターとして活躍し、数多くの指導者と共に空手の普及に努めました。特に彼が昇段した1985年には8段の位を得て、その技術力は更に評価されました。

書籍と広報活動

榎枝は空手に関する著書をいくつか執筆しており、その中には『松濤館：高度な型』（1983年）や『松濤館空手』などがあるほか、技術書も多く発表しました。彼はロンドンでの道場を宣伝するために、地下鉄の「ダイナミック空手」ポスターを用いて影響力を広げました。

彼の遺産

榎枝は2003年3月29日にこの世を去りましたが、彼の功績や精神は今なお多くの人々に受け継がれています。彼が教えた技術や理念は、彼の妻レイコと子供たち、さらには彼に指導を受けた多くの門弟たちによって生かされ続けています。彼の死後、JKAから九段位を贈られるなど、その生涯を通じて空手の発展に尽くした彼の貢献は決して忘れられることはありません。榎枝の生き様とその影響は、武道界における重要な一部として今も受け継がれています。

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