樅 (松型駆逐艦)

駆逐艦『樅』：太平洋戦争末期の短い生涯

艦の誕生と初期活動

「樅」は、大日本帝国海軍の駆逐艦で、松型駆逐艦の9番艦でした。横須賀海軍工廠で建造され、1944年6月5日に艦名を「樅」と命名され、同型艦「杉」「槇」と共に松型駆逐艦に類別されました。竣工は同年9月7日でしたが、これは当初予定より遅れたものでした。就役と同時に、訓練部隊である第十一水雷戦隊に編入され、瀬戸内海で訓練に従事しました。その後、姉妹艦や軽巡洋艦「木曾」と共に訓練を行い、レーダー射撃実験では「樅」が標的曳航艦を務めました。10月には空母「海鷹」「龍鳳」の護衛任務で台湾に向かい、輸送作戦に参加しました。

第52駆逐隊への所属と激戦

11月15日、「樅」は新編された第52駆逐隊に所属。同隊は第五艦隊第三十一戦隊に編入されました。12月中旬には、特攻兵器「桜花」を搭載した空母「雲龍」を護衛し、フィリピンへ向かいました。マニラ到着後は、マニラとカムラン湾、サンジャック間で輸送任務に従事しました。1945年1月5日、リンガエン湾でアメリカ軍の上陸船団と交戦。激しい砲戦の後、空襲を受け、「樅」は19時10分に航空魚雷命中により撃沈されました。乗組員たちは戦死しました。艦長米井恒雄少佐は戦死により海軍中佐に昇進しました。3月10日、「樅」は除籍されました。

艦歴詳細

1944年6月5日: 艦名を「樅」と命名、松型駆逐艦に類別
1944年6月10日: 横須賀鎮守府籍
1944年7月22日: 横須賀海軍工廠で艤装員事務所開設
1944年8月4日: 古川為夫大尉が艤装員長に任命
1944年8月21日: 艤装員事務所撤去
1944年9月4日: 米井恒雄少佐が艤装員長に就任
1944年9月7日: 竣工、米井恒雄少佐が艦長に就任、第十一水雷戦隊に編入
1944年10月: 軽巡洋艦「木曾」と合同訓練実施
1944年10月25日: 空母「海鷹」「龍鳳」の護衛任務で佐世保出撃
1944年11月15日: 第52駆逐隊に編入
1944年12月: 空母「雲龍」護衛でマニラへ向かう
1944年12月下旬: マニラと中国大陸沿岸部で輸送任務
1945年1月5日: リンガエン湾沖海戦で米軍と交戦、空襲を受け撃沈
1945年3月10日: 除籍

関係者

艤装員長:
古川為夫 少佐 (1944年8月10日 - 1944年9月4日)
米井恒雄 少佐 (1944年9月4日 - 1944年9月7日)

駆逐艦長:
* 米井恒雄 少佐 (1944年9月7日 - 1945年1月5日、戦死)

参考文献

本文中に記載されている参考文献は、駆逐艦「樅」の艦歴、太平洋戦争における戦闘状況、当時の日本海軍の組織や作戦などを詳細に記述した書籍や資料です。これらは、歴史研究や海軍史研究において重要な情報源となっています。これらの参考文献を活用することで、「樅」の艦歴に関するより深い理解を得ることが可能です。

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