樋口進 (医師)

樋口進: 日本の依存症治療を牽引する精神科医

樋口進（ひぐち すすむ、1954年生まれ）は、精神科医として日本における依存症の治療に多大な貢献をしている著名な専門家です。彼は国立病院機構久里浜医療センターの名誉院長及び顧問を務めており、アルコール、ゲーム、ギャンブルといったさまざまな依存症に関する治療と研究を行っています。特に、2021年にはゲーム依存症の推定有病率を求める手法とその結果を発表し、依存症研究の分野で画期的な一歩を踏み出しました。

学歴と初期のキャリア

樋口は山梨県南巨摩郡鰍沢町で生まれ、山梨県立甲府南高等学校から東北大学医学部に進学しました。1979年に同大学を卒業後、山形県の総合病院に勤務し、精神科医としてのキャリアをスタートさせました。1982年には慶應義塾大学医学部の助手として迎えられ、5年後には「日本女性アルコール症者の死亡率に関する比較研究」を発表し、医学博士号を取得しました。また、同年には久里浜病院に医員として入職しました。

国立病院機構久里浜医療センターでの活動

樋口は1989年にアメリカの国立衛生研究所（NIH）へ留学し、海外での経験を積みました。帰国後、久里浜病院では臨床研究部長、副院長を歴任し、2011年から2022年まで院長を務めました。この期間中、彼は日本で初めてのネット依存治療専門外来を設立し、依存症に関する多くの研究と治療を行いました。さらに、世界保健機関（WHO）の専門家諮問委員や、様々なフォーラムや会議の座長を務めるなど、国内外で広く活動を展開しました。

活動と役職

2022年に久里浜医療センターを退職するも、名誉院長としての役割を続け、依然として医学の発展に寄与しています。非常勤医師としても活動し、WHO物質使用・嗜癖行動研究研修協力センターのセンター長、慶應義塾大学および藤田医科大学の客員教授として後進の指導にもあたっています。

出版活動

樋口は多くの著作を持ち、著書には「エビデンスにもとづいた 新・アルコールの害」や「ネット依存」などがあります。また、「お酒が減らせる練習帳」や「ゲーム・スマホ依存から子どもを守る本」など、依存症に関するさまざまなテーマを扱った書籍も執筆しており、幅広い層に向けて依存症の理解を促進する努力を続けています。彼の専門的な知識と経験は、依存症の問題に直面する多くの人々にとって貴重な支援となっています。

樋口進は、精神科医としての長いキャリアを通じて、依存症の治療と研究における先駆者としての地位を確立し続けています。彼の貢献は日本国内にとどまらず、世界的にも影響を与えています。

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