樋口隆昌

樋口 隆昌について

樋口 隆昌（ひぐち たかよし、1927年10月29日 - 2017年2月23日）は、木材化学の分野で日本を代表する生化学者であり、京都大学の名誉教授であります。彼の専門分野は木質成分であるリグニンの生合成および生分解メカニズムに関する研究であり、国際的に著名な研究者として多くの業績を残しました。樋口教授はまた、アメリカ科学アカデミーの海外会員としても広く知られ、国際的なネットワークも持っていました。

経歴

樋口は長野県木曽郡福島町（現在の木曽町）に生まれました。1950年に名古屋大学理学部生物学科を卒業後、岐阜大学農学部に勤務し、助手から講師、助教授を経て教授へと昇進しました。1968年には京都大学木材研究所（現生存圏研究所）の教授に就任し、1978年からは同研究所の所長を務めました。1991年には京都大学名誉教授となり、その後日本大学農獣医学部でも教授として活動しました。

研究業績

樋口の専門である木材化学、特にリグニンの研究は広範囲に渡ります。彼はリグニンの生合成や生分解のメカニズム解明に貢献し、その成果は木材の利用や環境保護に関する重要な知見を提供しました。カナダ国立平原研究所（NRC）での客員研究員としての経験や、フランスのグルノーブル大学での客員教授としての活動も、彼の国際的な評価を高めました。

樋口は国際木材科学アカデミーの会長も務め、彼の取り組みは木材化学の研究に対する国際的な関心を高めるきっかけとなりました。

受賞歴

樋口はその業績に対して多くの賞を受賞しています。1985年には日本農学賞を、1987年にはアメリカ化学会からアンセルムペイエン賞を受賞しました。1990年には紫綬褒章を受章し、1992年には藤原賞を獲得、2001年には日本学士院賞を受賞しています。これらの受賞は彼の卓越した研究と国際的な貢献を示すものです。

著書

樋口は著書をも執筆しており、特に重要な作品としては、1983年に中野準三・住本昌之・石津敦と共著で発表した『木材化学』、1993年に文永堂出版から刊行された『木質生化学』があります。これらの著書は、木材化学の基礎知識や新たな知見を提供するものであり、後進の研究者たちにとって重要な文献となっています。

樋口隆昌は、彼の研究成果を通じて木材化学の分野に貢献し続け、今でも多くの人々に影響を与えています。彼の業績は、未来の木材利用や環境問題への理解の深化に寄与し、重要なインスピレーションを与えるものです。

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