権利の章典

権利の章典（Bill of Rights）

権利の章典（けんりのしょうてん、英: Bill of Rights）は、イギリスの不成典憲法を構成する重要な法律の一つです。この法律は、正式には「臣民の権利と自由を宣言し、かつ、王位の継承を定める法律」と呼ばれています。この章典は、1689年の名誉革命のさなか、国王ジェームズ2世が追放され、オランダから迎えられたウィリアム3世とメアリー2世の即位を契機に制定されました。

制定の背景

1688年、名誉革命により、ジェームズ2世は反抗によりその地位を失いました。それに続いて、ウィリアム3世とメアリー2世が新たにイングランド国王と国王妃として即位しました。その後、1689年12月16日に、両院が国王の理解を得て「権利宣言」を基にして成文化したのが権利の章典です。この文書には、当時の名高い哲学者ジョン・ロックの思想も大きく影響しています。

内容概要

権利の章典は、イングランド国王の存在を絶対的な条件とした上で、国王に忠誠を誓う議会および国民の権利と自由を明文化した法律です。この法律により、国王も否定できない国民の権利が確認され、古来より相続してきた権利が保障されることとなりました。

章典の主な規定

1. 法律の適用免除・執行停止の禁止: 議会の同意を得ることなく、法律の適用を免除したり、その執行を停止することは禁じられています。
2. 課税と常備軍に関する制限: 議会の承認なしに課税を行うことや、平時に常備軍を設置することも禁止されています。
3. 議会の自由: 議会選挙の自由、議会内での発言の自由、国民による請願権の保障も重要な規定です。
4. 議会の召集: 国王は議会を召集することが求められます。
5. 人身の自由に関わる規定: 議員の免責特権や、市民の人身自由に関する詳細な規定も含まれています。
6. 王位継承者に関する制規: カトリック教徒が王位継承者になれないようにすることも定義されています。

章典の位置づけ

権利の章典は、イギリスにおける不文憲法の中で、根本的な法律として機能しています。この文書は現在でも有効性を保ち、イギリスの民主主義や立憲制度の重要な基盤となっています。また、国民の権利を守るための先駆的な文書と評価されています。

関連項目

• - 法の支配: 権利の章典は法の支配を支持する基盤としても役立っています。
• - コモン・ロー: この章典の存在は、イギリスにおけるコモン・ローにも影響を与えました。
• - 患者の権利章典: 近年では、この権利章典の理念が他の分野へも広がり、患者の権利を保障するための文書なども出てきています。

権利の章典は、イギリスの歴史と法制度に深く根ざした重要な文書であり、国民の権利保障の象徴となっています。

もう一度検索