横山美智子

横山美智子の生涯と業績

横山美智子（よこやま みちこ、1895年～1986年）は、日本を代表する小説家であり、特に少女小説の分野でその名を知られています。本名は黒田カメヨで、結婚後も戸籍上の姓は黒田でした。彼女の夫、横山寿篤は出版社キンノツノ社の社長でした。

幼少期から文学の道へ

美智子は広島県尾道市に生まれ、1908年に尾道女子高等小学校を卒業しました。文学を目指して上京したのは卒業から2年後の1910年のことで、その後、彼女の作家としての道が始まります。1917年には横山寿篤と結婚し、彼女の文学活動は新たなステージへと進展しました。

小説家としての成功

彼女のデビュー作は1934年に発表された小説『緑の地平線』で、この作品は朝日新聞の懸賞小説に選ばれ、翌年には日活によって映画化されました。この成功を契機に、彼女は文芸作家協会の会員にもなり、活発な作家生活を送ることとなります。

特に少女小説においては、多数の人気作を世に送り出しました。彼女の代表作『嵐の小夜曲（セレナーデ）』は1929年から1930年にかけて《少女の友》に連載され、大ヒットとなりました。講談社から出た単行本は54版もの重版を記録し、《講談社のビルはこの本のおかげで建った》という冗談も生まれるほどの人気を誇りました。美智子自身も後年のインタビューで「売れましたねえ」と語っています。

批判と評価

しかし、彼女の作品には批判もつきまといました。名高い評論家である村岡花子は、横山の小説『朝のよろこび』が安易なセンチメンタリズムであると非難しました。このような批評からも、彼女が多くの読者の期待に応えつつも、その時代の流行に迎合した面があり、後世からは陳腐な展開と見なされることもありました。それでも、名指しで批判されるほどの知名度があったことは間違いありません。

教育と家庭への貢献

横山は文学活動にとどまらず、教育関連の書籍も多く執筆しました。『伸びゆく子供』や『こう叱るこうほめる』など、保護者や教育者向けの指南書も発表しています。彼女は作家活動を終えた後も、教育の重要さを訴え続けました。

家族への影響

美智子には3人の子供があり、特に長女の山脇百合子は英文学者となり、実践女子大学で名誉教授を務めました。また、三女の横山はるひはバレリーナとしても知られています。彼女の家庭における影響力も、文学界における心得と同様に広大なものでした。

整理された著作

横山美智子の著作は非常に多く、1925年から1956年にかけて、詩集や小説、教育書など幅広いジャンルで作品を残しました。代表的な著作には『幸福の丘』や『純愛』、『よい子強い子』などがあり、その多くは現代の少女文学に影響を与え続けています。彼女の作品は単に物語として楽しむだけではなく、教育的な意図が込められたものであり、時代背景を理解する上でも貴重な資料となっています。

結論

横山美智子は、日本の小説や児童文学の発展に寄与した一人であり、その作品や活動は今日でも多くの人々に親しまれています。彼女の文学は、時代を超えて読み継がれる価値を持っており、彼女の功績は日本文学史において重要な位置を占めています。

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