横張真

横張 真（よこはり まこと）

1958年に東京都に生まれた横張真は、日本の都市および緑地の環境計画分野における第一人者です。緑地環境計画やランドスケープ科学、環境農学を専門とし、博士（農学）の学位を取得しています。現在、東京大学大学院工学系研究科の教授として教育と研究の最前線に立ち、その知見を社会に広く還元しています。また、カナダのグエルフ大学やイタリアのバリ大学では客員教授も務めるなど、国際的にも活動を展開しています。

学歴と研究者としての歩み

横張真は、1984年に東京大学農学部農業生物学科を卒業後、同大学大学院農学系研究科で学び、1986年に修士課程を修了しました。卒業後は農林水産省農業環境技術研究所にて研究キャリアをスタートさせます。研究活動の幅を広げるため、1992年から1993年にかけては、科学技術庁の長期在外研究員としてカナダのグエルフ大学に滞在しました。帰国後、1994年からは国立農業環境科学研究所の主任研究員として、重要な研究テーマに取り組みます。

この間、1994年から2000年には日本大学で、1998年から2006年には母校である東京大学で非常勤講師を務め、後進の指導にもあたります。2003年と2005年には京都大学でも非常勤講師を務めるなど、多様な教育機関で教鞭をとりました。

1998年には筑波大学社会工学系の助教授として大学に籍を移し、教育・研究のフィールドを広げます。2004年には筑波大学大学院システム情報工学研究科の教授に昇任。そして、2006年には東京大学大学院新領域創成科学研究科の教授に着任し、2013年からは東京大学大学院工学系研究科で教鞭をとっています。

研究分野と主な貢献

横張真の研究は、都市における緑地の持つ機能や役割を科学的に解明し、より質の高い緑地空間の創造や保全計画を策定することを目指しています。ランドスケープ科学や環境農学の視点を取り入れ、緑地がもたらす生態系サービスや都市環境への影響、人々のwell-beingへの寄与などを多角的に分析しています。これらの研究成果は、都市計画や地域づくりの現場で活用されており、緑豊かな持続可能な社会の実現に貢献しています。

受賞、著書、学会活動

研究者としての顕著な功績は高く評価されており、1995年には平成6年度日本造園学会賞（論文部門）を受賞しています。また、専門分野に関する複数の書籍を執筆しており、共著として『郊外の緑地環境学』、『世界のランドスケープデザイン』、『テキスト ランドスケープデザインの歴史』などがあります。これらの著書は、専門家だけでなく学生にとっても貴重な教材となっています。

国内外の学会活動にも積極的に参加し、主要な役割を担ってきました。国際景観生態学会や都市計画協会、農村計画学会、日本造園学会などで理事を務め、特に日本都市計画学会および日本造園学会では会長を務めました。これは、両分野における横張氏のリーダーシップと貢献が認められた結果と言えます。

社会への影響と主なプロジェクト

横張真の研究活動や社会活動は、学術界に留まらず、実際の都市づくりや地域計画にも大きな影響を与えています。政府や自治体の各種委員会の委員を歴任し、重要な政策決定に関与しています。例えば、福島県における復興祈念公園有識者委員会の委員、国土交通省社会資本整備審議会の臨時委員、東京都農政審議会の委員長などを務めました。また、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の委員としても活動しました。

さらに、具体的なプロジェクトにも深く関わっています。みなとみらい21ドックヤードパークの計画策定、OECDの農業生態学的指標の開発、埼玉県緑地計画、つくばエクスプレス線沿線の新都市開発構想、つくば市グリーンマスタープラン、そして愛知県で開催されたEXPO2005の概念計画など、広範かつ影響力の大きなプロジェクトに専門家として貢献しました。

横張真の研究と実践は、都市と緑地の調和、持続可能な環境創造という現代社会の重要な課題に対し、科学的な知見と実践的な視点の両面から深く切り込んでいます。長年にわたる教育、研究、社会貢献活動を通じて、日本の都市・緑地環境計画分野の発展に多大な功績を残しています。

もう一度検索