横浜市長浜ホール

横浜市長浜ホールの概要

横浜市長浜ホールは、神奈川県横浜市金沢区の長浜野口記念公園内に位置するコンサートホールです。このホールは、単なる音楽施設としてだけでなく、かつてこの地にあった旧横浜検疫所の歴史を今に伝える重要な役割を担っています。ホールは、旧検疫所の事務棟を改築したものであり、隣接する旧細菌検査室は、かつて野口英世が検疫業務に携わった場所として保存されています。

歴史的背景

1879年（明治12年）、コレラの蔓延を防ぐため、神奈川県地方検疫所が設置されました。当初、消毒所は三浦郡長浦（現在の横須賀市長浦）に設けられましたが、1895年には現在地に移転しました。この場所は、かつて海岸線に面しており、桟橋や迎賓館など、40棟もの建物が立ち並んでいたといいます。1899年には、海港検疫法の交付に伴い「横浜海港検疫所」と改名されました。特筆すべきは、同年5月から9月にかけて、野口英世がこの施設で検疫業務に携わったことです。

1923年（大正12年）の関東大震災では、多くの建物が倒壊しましたが、翌年には再建されました。しかし、1952年（昭和27年）に検疫所が横浜港大さん橋付近に移転すると、この施設は使用されなくなり、廃墟と化しました。その後、1979年から、野口英世ゆかりの建物として保存運動が始まりました。1985年には、建物の多くが取り壊されましたが、保存運動の成果により、旧細菌検査室は解体を免れました。

1993年、横浜市が国から土地と建物を取得し、1996年11月から改修工事が開始されました。そして1997年2月に工事が完了し、同年5月22日に長浜ホールとして開館しました。

建築の特徴

長浜ホールは、旧検疫所の事務棟の外観を復元したもので、白い外壁と緑色の窓枠が特徴的です。地下には104席の音楽ホールがあり、音楽練習室や会議室も併設されています。一方、旧細菌検査室では、コッホ型蒸気消毒器や乾熱滅菌器など、昭和初期の備品が展示されており、当時の様子を偲ぶことができます。両建物は共に、横浜市認定歴史的建造物に認定されています。

また、園内では旧建物の煉瓦造りの基礎が発見され、モニュメントとして保存されています。

周辺施設

長浜ホールの周辺には、長浜公園や小柴貯油施設などがあります。これらの施設も、長浜地区の歴史と自然を語る上で重要な要素となっています。

まとめ

横浜市長浜ホールは、単なるコンサートホールとしての機能だけでなく、横浜の歴史を伝える文化施設としての役割も担っています。旧検疫所の建物が持つ歴史的な価値と、野口英世がこの地で活動したという事実が、このホールを特別な存在にしています。訪れる人々は、音楽を楽しむだけでなく、歴史に触れ、過去の出来事を思い起こすことができるでしょう。

参考文献

* 横浜市長浜ホール 公式サイト

外部リンク

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