横浜米軍機墜落事件

横浜米軍機墜落事件

横浜米軍機墜落事件は、1977年9月27日に神奈川県横浜市で発生した重大な航空事故です。この事件では、米海兵隊のRF-4BファントムIIが住宅地に墜落し、一般市民9名が死傷するという悲劇が起きました。

事件の経緯

事故は、午後1時過ぎに厚木基地を離陸した戦術偵察機611号機が起こしたエンジン火災によって引き起こされました。この航空機は燃料を満載した状態で発進したため、直後に操縦不能に陥り、乗員は緊急脱出から無事に地上に着地しました。しかし、機体は鴨志田町から約5km離れた荏田町の住宅地に墜落し、大きな火災を引き起こしました。機体の破片は周囲300mから400mに飛び散り、20戸以上の家屋に被害を及ぼしました。

事故発生後、海上自衛隊の救難ヘリが現場に向かったものの、既に消防車が到着し活動を行っていたため、すぐに人命救助が行われました。その間、アメリカ軍も現場に到着し、市民を締め出した後、エンジンなどの回収作業を行いました。この状況に対して、周辺住民の感情は複雑でした。

不幸にも、墜落によって多くの市民が負傷しました。その中でも特に衝撃を受けたのは、小さな兄弟の悲劇でした。全身に火傷を負った2名の男児は、病院に搬送されるも翌日、相次いで命を落としました。最期の言葉は「パパ、ママ、バイバイ」と、子供として当たり前の愛着を表したものだったと伝えられています。この事故による精神的な傷は、母親にも深い影響を与えました。

原因究明

事故の原因は、アメリカ軍による調査によって明らかにされましたが、日本側の独自調査は許可されませんでした。調査の結果、エンジンの組み立てミスが原因であり、乗員には過失がないと結論づけられました。しかし、日本側は整備担当者の責任も追及すべきだと主張し、問題が長引く結果に繋がりました。

追悼や記念碑

事故を受けて、遺族たちは追悼の意を表すための活動を始めました。「愛の母子像」というブロンズ像が1985年に港の見える丘公園に設置されました。これには、実際に事件で亡くなった兄弟をモデルにした愛の象徴が表現されています。市の対応は遅れ、碑文の設置までには長い時間がかかりましたが、最終的に市民の声によって記念碑は完成しました。

さらに、「和枝碑」と呼ばれる追悼碑も建立され、事件の教訓を後世に伝えるための基盤となりました。また、被害者の名を冠したバラ「カズエ」も市内で育成されており、故人の思い出や平和への願いが込められています。これらの追悼活動は、事故の影響を受けた多くの人々にとって、忘れ去られないものとなっています。

結論

横浜米軍機墜落事件は、単なる航空事故ではなく、人の命、愛、そして平和の大切さを教えてくれる出来事でした。この事件を追悼し、後世に語り伝えることは、私たち全ての責任です。今後もこのような悲劇が二度と起こらないよう、歴史から学び続けることが必要です。

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