橋本不美男

橋本不美男は、1922年8月15日に東京で生まれ、1991年12月25日に亡くなった日本の国文学者です。特に王朝和歌を専門とし、その研究において多大な貢献をしました。早稲田大学の名誉教授であり、日本の古典文学研究に重要な足跡を残しました。

生涯と学歴

橋本不美男は、1944年9月に日本大学法文学部国文科を卒業しました。その後、宮内庁書陵部図書調査官として勤務し、古典籍の研究に携わりました。その後、早稲田大学に移り、教授として教鞭を執り、1990年に定年退任するまで、多くの学生を育成しました。彼の専門分野は、平安時代を中心とした王朝和歌であり、その研究は、日本の古典文学研究に深い影響を与えました。

研究業績

橋本不美男の研究は、王朝和歌の歴史的変遷や歌人の作品分析に焦点を当てていました。特に、院政期の歌壇、堀河院歌壇の研究において重要な業績をあげています。彼の研究は、和歌の表現形式や文学的背景を深く掘り下げ、古典文学の理解を深める上で不可欠なものとなっています。

主要な著書

橋本不美男は、数多くの著書や共著、校訂本を出版しました。以下に主なものを紹介します。

『院政期の歌壇史研究 堀河院歌壇を形成した人々』 (武蔵野書院, 1966年): 院政期の歌壇、特に堀河院歌壇における歌人たちの活動を詳細に分析した研究書です。
『王朝和歌史の研究』 (笠間書院, 1972年): 王朝和歌の歴史的な流れを概観し、歌の形式や内容の変化を明らかにした著作です。
『原典をめざして 古典文学のための書誌』 (笠間書院, 1974年): 古典文学研究における書誌学の重要性を説き、原典研究の方法論を示した書物です。

共著・校訂

橋本不美男は、他の研究者との共同研究や古典の校訂にも積極的に取り組みました。以下にその一部を紹介します。

『建長八年百首歌合と研究』 (未刊国文資料刊行会, 1964-71年): 福田秀一、久保田淳との共編著で、鎌倉時代の歌合を研究したものです。
『和歌の本質と展開』 (桜楓社, 1973年): 赤羽淑、藤平春男との共編で、和歌の本質と歴史的展開について考察しています。
『校本堀河院御時百首和歌とその研究』 (笠間書院, 1976-77年): 滝沢貞夫との共編で、堀河院時代の百首歌を校訂し、詳細な研究を行っています。
『校本永久四年百首和歌とその研究』 (笠間書院, 1978年): 滝沢貞夫との共著で、永久四年における百首歌を校訂し、その文学的意義を論じています。
『袖中抄の校本と研究』 (笠間書院, 1985年): 後藤祥子との共著で、中世の歌論書「袖中抄」を校訂し、その内容を分析しています。
『百人一首 小倉山荘色紙和哥 兼載筆』 (新典社, 1974年): 有吉保、犬養廉との校注で、百人一首の校訂を行っています。
『歌論集』 (小学館, 1975年): 有吉保、藤平春男との校注で、様々な時代の歌論を収録したものです。
『更級日記』 (笠間書院, 1980年): 菅原孝標女の『更級日記』の翻刻、校注、影印を行ったものです。
『神道大系 文学編 3 神道和歌』 (神道大系編纂会, 1989年): 相馬万里子との校注で、神道における和歌を研究したものです。

記念論集

橋本不美男の業績を記念して、以下の論集が刊行されました。

『王朝文学 資料と論考』 (笠間書院, 1992年): 橋本不美男の研究を記念した論集で、王朝文学に関する様々な論文が収録されています。
『王朝和歌 資料と論考』 (笠間書院, 1992年): 橋本不美男の研究を記念した論集で、王朝和歌に関する様々な論文が収録されています。

橋本不美男の研究は、日本の古典文学、特に王朝和歌の研究において、重要な基礎となっています。彼の学問に対する真摯な姿勢と、優れた研究成果は、後世の研究者に大きな影響を与え続けています。

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