橋本榮治

橋本 榮治（はしもと えいじ）は、1947年7月8日に神奈川県横浜市で生まれた日本の俳人です。千葉大学法学部を卒業後、俳句の世界に進みました。

1976年、歴史ある俳誌「馬酔木」への投句を開始したことが、彼の俳人としての第一歩となりました。この時期に、同誌を主宰していた水原秋桜子、そしてその門下で活躍し、現代俳句を牽引した一人である福永耕二に師事し、俳句の基礎と精神を深く学びました。

師事から10年を経た1986年には、「馬酔木新人賞」を受賞し、若手実力派として頭角を現します。この受賞は、彼の俳句が結社内で高く評価されたことを示しています。翌1987年には「馬酔木」の同人に推挙され、同誌の中核を担う俳人としての地位を確立しました。

「馬酔木」誌においては、創作活動だけでなく、運営にも深く関わりました。1997年には同誌の編集長に就任し、2007年までの10年間にわたり、その重責を担いました。編集長として、同誌の編集方針を定め、多くの俳人の作品を紹介し、後進の育成にも精力的に取り組みました。

創作においても目覚ましい成果を上げています。1995年に刊行された第一句集『麦生』は、その清新な作風が高く評価され、第19回俳人協会新人賞を受賞しました。これは、俳壇全体における彼の存在感を大きく高める出来事となりました。その後も精力的に句作を続け、近年では2024年に句集『瑜伽』により、第63回俳人協会賞を受賞するという快挙を成し遂げました。これは、彼の長年の活動と、円熟した俳句が改めて高く評価されたことを示すものです。

これまでに刊行された句集としては、受賞作である『麦生』『瑜伽』のほか、『激旅』『放神』などがあります。これらの句集を通して、彼の多彩な作風や、人生観、自然への眼差しなどを伺い知ることができます。また、俳書として、師である水原秋櫻子の代表的な作品に焦点を当てた『水原秋櫻子の一〇〇句を読む』を著しており、俳句の評論・研究の分野においても貢献しています。

現在も「馬酔木」の同人として活動を続ける傍ら、自身が代表を務める俳句結社「枻」を主宰し、後進の指導にあたっています。また、俳誌「件」の編集人も務めるなど、多方面から俳壇の発展に寄与しています。

橋本榮治は、水原秋桜子、福永耕二といった師から受け継いだ伝統を踏まえつつ、現代的な感覚を取り入れた作品を発表し続け、現代俳壇において重要な位置を占める俳人の一人です。

【主な参考文献】
坂口昌弘著『平成俳句の好敵手』文學の森
『現代俳句大事典』 三省堂、2005年
宇多喜代子著『戦後生まれの俳人たち』 毎日新聞社、2012年

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