橋本遊廓

橋本遊廓とは

橋本遊廓は、かつて京都府綴喜郡八幡町橋本（現在の八幡市）に存在した遊廓です。昭和初期には「八幡町遊廓」として知られていました。

歴史

橋本は、淀川の南岸に位置し、京と大阪を結ぶ京街道の宿場町として栄えました。しかし、幕末の鳥羽・伏見の戦いで焼け野原となり、明治時代には東海道本線の開通により衰退の一途を辿りました。その後、明治初期に一度途絶えた遊里が再興され、1910年には京阪本線が開通し、再び賑わいを取り戻しました。

最盛期は1937年頃で、約90軒もの貸座敷が立ち並び、600人もの娼妓が働いていたとされています。昭和恐慌の時代には、生活に困窮した農村の女性たちが身を売ることも少なくありませんでした。

1958年、売春防止法が施行され、橋本遊廓は閉鎖されました。当時の八幡町にとって、遊廓からの税収は町民税の3分の1を占めるほど大きなものでしたが、時代の流れとともに、その役割を終えました。遊廓の経営者たちは、建物をアパートや旅館、料亭などに転換し、新たな道を歩み始めました。

現在の橋本

近年、橋本遊廓の歴史を保存しようとする動きが出てきています。かつての妓楼建築である旧三桝楼は、中国東北部出身の女性によって購入され、「旅館・橋本の香」として生まれ変わりました。また、橋本遊廓で最も古い建物である旧第二友栄楼は、中国茶カフェ「美香茶楼」として新たな命を吹き込まれました。

地元では、橋本遊廓の歴史を伝える街歩きツアーも開催されています。しかし、遊廓の存在を忘れたいという住民もおり、2020年には遊里再興を記念して建てられた碑の移設をめぐって論争が起こるなど、複雑な感情も存在します。

橋本遊廓は、日本の近代史における光と影を映し出す存在です。その歴史をどのように継承していくかは、これからの課題と言えるでしょう。

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