機動
概要
機動とは、軍事作戦において
部隊を適切な位置に迅速に移動させる行動を指します。これは単なる移動を超え、敵の防御を突破したり、包囲したりする戦術的な決断が重要な要素とされます。
アメリカ軍の野戦教範100-5によると、機動は敵を包囲、迂回、そして孤立させる行動としての意味を持つとされています。効果的な機動を遂行することで、敵を不利な状態に置くことが可能となります。これは、指揮官が
部隊の脆弱性を考慮し、敵の移動を誘導する結果として現れる現象です。また、火力を使わずに敵を退かせる戦闘様式は「機動戦」として知られており、歴史的な戦闘の中でもその特徴が顕著に現れています。
種類
1. 行軍
行軍は、戦場以外での
部隊の移動を意味し、敵と接触する可能性や地形の影響を考慮して、移動速度や隊形が決定されます。安全性と効率的な移動を重視し、次の戦闘展開につなげる重要な過程です。
2. 包囲
包囲は、敵を捕捉し撃滅することを目的とした攻撃機動であり、敵の背後からアプローチします。反包囲は、その包囲を試みる敵に対して逆に包囲を試みる戦術であり、戦闘の展開を大きく左右する行動です。
3. 迂回
迂回は敵を有利な地点に引き寄せることを目指し、後方への連絡を遮断する戦術です。敵にとって避けられない状況を作り出し、自軍に有利な条件を整えます。
4. 突破
突破は、敵の防御を打破するために行動し、その後に各個撃破を目指します。素早い防御体制の破壊は、戦場の主導権を握るための重要な戦術です。
戦略と戦術
機動は、戦略的な優位を狙うための行動としても機能し、最高司令部や地方
部隊が実施します。これには、戦略機動と戦術機動があり、戦術機動は予想外の接敵や有効打を狙うための機動を指します。
「機動」の関連項目
機動に関連する用語や
部隊には、軍事用語としての「機動
部隊」や「機動戦」などがあります。また警察の組織においても、機動隊や交通機動隊など、機動が重視される部門があります。
参考文献
- - Creveld, M. L. Van. Air Power and Maneuver Warfare.
- - Liddell Hart, B. H. Strategy.
- - 市川良一訳 戦略論 間接的アプローチ 上下・原書房 2010年
- - Lind, W. S. Maneuver warfare handbook.
機動の理解は、軍事戦略や戦術の効果的な実行につながります。
部隊の素早い対応と状況判断が勝利への鍵を握っているのです。