櫛目文土器時代

櫛目文土器時代の概要

櫛目文土器時代（くしめもんどきじだい、またはせつもんどきじだい）は、朝鮮の考古学における重要な時代区分であり、紀元前8000年から紀元前1500年にかけての期間を指しています。この時代は、土器の技術が発展し、特に櫛の歯のような模様が施された土器（櫛目文土器）が作られるようになったことから名付けられました。朝鮮におけるこの時代は、新石器時代にあたるとされていますが、当時の人々は主に狩猟や採集を行い、小規模な農業は行われていなかったため、日本の縄文時代と似た側面がありました。後の無文土器文化へ移行する過程もこの時代と深く関連しています。

歴史的な区分

櫛目文土器時代は、草創期・前期・中期・後期の4つの段階に分けられます。それぞれの段階では農業や生活様式の変化が見られ、土器の形態や技術の発展が反映されています。

草創期

草創期（紀元前8000年から6000年頃）には、南部の地域から隆起文土器が発見されています。これは、この時期に土器の製造が開始されたことを示しており、初期の人々は狩猟採集生活をしながら、次第に土器を使用するようになりました。

前期

前期（紀元前6000年から3500年頃）には、漁業や狩猟が盛んで、竪穴建物を用いた半定住の生活が行われていました。この時期には、特に大規模な貝塚が築かれ、食生活の変化が暗示されています。紀元前4000年頃には櫛目文土器が出現し、これはユーラシア北部、一部地域に見られる土器と似た特徴を持っています。このことは、当時の朝鮮半島がウラル系民族（ハプログループN）と関連していた可能性を示唆しています。また、朝鮮の櫛目文土器の影響を受けたと思われる、日本の曽畑式土器が南西諸島や九州で広がったことも指摘されています。

中期

中期（紀元前3500年から2000年頃）には、雑穀などの栽培が開始されたものの、依然として漁業や狩猟が生活の中心であったと考えられています。この時期には、一定の定住が進み、農業の発展が窺えますが、大規模な農耕はまだ見られなかったようです。

後期

後期（紀元前2000年から1500年頃）では、内陸部への居住が増え、貝塚が次第に減少していきました。このことは、農業に対する依存度が高まっていったことを示しています。後期の生活様式は、より安定した食糧供給と結びついており、これにより人々は集落を形成し、生活基盤を強化していったと考えられています。

結論

櫛目文土器時代は、朝鮮の古代社会が土器技術を発展させ、生活様式や社会構造が変化していく過程を反映した重要な時代です。この時代の研究は、朝鮮の歴史や文化を理解する上での基盤を提供しており、後の無文土器文化との関連を探る上でも重要性を持っています。

もう一度検索