欧州議会

欧州議会について

欧州議会（European Parliament、EP）は、民主的に選出された751人の議員からなる欧州連合の主要な立法機関です。これは、国境を越えた選挙によって選ばれる世界最大規模の議会でもあり、1979年以降5年ごとに開催される直接選挙によって議員が選ばれています。欧州議会は、欧州連合理事会と並ぶ二院制の立法機関として機能し、特に共同決定手続きによって、その権限は強化されています。

設立と沿革

欧州歴代の議会は1952年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体の「共同総会」に始まりました。この機関は当初、立法権を持たず、諮問的な意味合いが強いものでした。しかし、努力の結果、じょじょにその権限は拡大し、今日では欧州委員会と共同で法律案の策定や予算の監視を行う重要な役割を果たしています。

特に、リスボン条約の施行により、欧州議会の権限は大きく強化され、多くの立法分野で欧州委員会と同等の権限が与えられるようになりました。これにより、議会は直接的な政策に影響を及ぼす存在となり、民主的な正当性が強化されています。

組織構成

欧州議会の議長は2022年から欧州人民党に属するロベルタ・メツォラが務め、議事の進行や外部への代表業務を行っています。議長の任期は2年半で、それまでの主要な業務を遂行し、議会内のさまざまな会派を統率します。

議会は、主要な政治会派で構成されており、欧州人民党（EPP）や社会民主進歩同盟（S&D）が中心的な役割を果たします。これらの会派は、各国の主要な政党が集まって形成され、立法活動において重要な影響力を持っています。

権限と活動

欧州議会は、法案の修正や撤回、予算の承認を行なう権限を持ちますが、法案提出権は欧州委員会にあります。これは、議会が法案を修正・否決することはできるものの、法案を提案する権限は持っていないためです。ただし、欧州議会は提案を求めることができ、この点で事実上の法案提出権を行使しているとも言われています。

議会の活動はストラスブールとブリュッセルの二か所で行われ、法案審議や委員会活動を支えています。また、予算に関する権限も持ち、各年の予算案について欧州委員会に説明を求め、承認または否決を行います。

選挙と代表

議会議員は5年ごとの直接選挙で選出され、加盟国ごとの議席数は人口に応じて分配されます。この選挙は、各国の選挙法に基づき、比例代表制で実施されます。最近の2019年の選挙では、全体で約50%の投票率を記録しました。

議員はまた、さまざまな委員会に所属し、委員会活動を通じて専門的な審議を行うことが求められます。これらの委員会では特定の政策分野に焦点を当て、議会内での調整や意見の集約を行います。

多様性と多言語

欧州議会は多言語性が特徴で、公用23言語で活動しています。このため、ほぼすべての議事において同時通訳が行われ、すべての法令文書も各言語に翻訳されます。これは、異なる言語背景を持つ国々の市民が欧州議会に対して意見を共有できる環境を整えるためのものです。

将来の展望

今後も欧州議会はその権限を拡大し、持続可能な開発や社会的な問題、そして国際関係など、さまざまな政策に対して影響を及ぼすことが期待されています。リスボン条約以降、議会の権限や役割は今後も一層重要になるでしょう。これに伴い、議員や市民との連携を強化し、より透明で効率的な運営を目指し続けることが求められています。

もう一度検索