歌姫 (戯曲)

歌姫

『歌姫』（うたひめ）は、サタケミキオが手掛けた戯曲であり、彼の主宰する劇団「東京セレソンデラックス」によって初演されました。2004年に初めて上演され、その後も再演を重ね、2012年には戯曲集『純愛戯曲集』に収録されました。さらには、2014年に「劇団EXILE」による上演や、2016年には宅間の主宰する「タクフェス」での公演も行われました。そして、2007年にはTBSで放送されたテレビドラマでも、サタケが脚本を担当し、長瀬智也が主演して大きな反響を呼びました。

あらすじ

物語は、長い間閉館が決まった映画館オリオン座を舞台に展開します。戦後の日本、土佐清水の街に位置するこの映画館には、住み込みの映写技師である四万十太郎が働いていますが、彼は戦前の思い出を全く失っていました。彼がオリオン座に着任してから10年、映画館の娘である岸田鈴は成長し、彼に特別な感情を抱くようになります。周囲の人々も二人の恋の成就を応援していました。鈴が太郎の好意を知り、罪悪感や不安を抱える一方で、太郎自身も彼女への気持ちを受け入れようとし始めます。しかし、ある日、突然、街に現れた一人の女性が彼らの運命に影響を与えます。

主要登場人物

• - 四万十太郎（及川勇一）

映画館オリオン座の映写技師で33歳。戦争を経て記憶を失い、戦後の日々をオリオン座で過ごしている。以前は特攻隊員で、東京帝国大学に通っていたこともある。鈴を妹のように思い大切にするが、彼女との関係に悩む。

• - 岸田鈴

オリオン座の看板娘で19歳。太郎に10歳で出会い、兄のように思っていたが、次第に恋心を抱くようになる。彼に対しての思いを秘めつつ、不安にかられる日々を送る。

• - クロワッサンの松

山之内一家の一員であり、最初は恐れられる存在。しかし、実は甘えん坊で心優しい性格を持っている。鈴に恋をし、彼女を得るために極道の世界から抜け出す決意を固める。

• - 神宮寺（ジェームス）

民宿「さば塩」で働く大学生。映画に情熱を抱き、太郎の影響を受けて映画脚本家としての道を歩むことになる。物語の中で重要な役割を担う。

• - 鯖子

民宿の女将で、活力にあふれる人物。彼女自身の過去には悲しみが秘められており、それが物語に深みを与える要素となっている。

• - その他のキャラクター

物語には他にも、太郎の元妻である及川美和子や、小日向泉、ロシアなど、多様なキャラクターが登場し、それぞれが物語を豊かに彩ります。

公演情報

『歌姫』は初演、再演を経て、多くの劇場で上演されました。特に2004年の初演を皮切りに、2007年、2014年、2016年と続き、いずれも高い評価を得てきました。また、テレビドラマ化された際には、コメディ要素も交えながら、多くの視聴者に親しまれることとなりました。ドラマは全11話で放送され、特に岸田家のホームドラマとしての側面が強調されています。

まとめ

この作品は、記憶を失った男と成長する少女の切ない恋を中心に、様々な人々の人生や葛藤が交錯します。『歌姫』はただの恋愛物語に留まらず、過去の記憶や人との関係の深さを問いかける、感動的な物語です。音楽や舞台表現、映像作品としての姿もあり、多くの人々の心に残る作品となっています。

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