歌謡リクエストショー

歌謡リクエストショー

『歌謡リクエストショー』は、1991年4月2日から1992年3月24日までの約1年間、NHK総合テレビで毎週火曜日の夜8時から45分間にわたり生放送された音楽番組です。長らく親しまれた『NHK歌謡パレード』の後継番組として企画され、主に歌謡曲や演歌といったジャンルの楽曲を取り扱いました。

この番組の最も特徴的な点は、視聴者からのリクエストに迅速に応えるという形式を取り入れていたことです。全国の視聴者は、電話やファックスを通じて、聴きたい歌や思い出深い曲を番組にリクエストすることができました。番組では、寄せられたリクエストに基づき、NHKが過去に放送した豊富な番組アーカイブの中から、歌手本人のオリジナル歌唱映像を選んで放送しました。具体的には、『NHK紅白歌合戦』や『思い出のメロディー』、『ビッグショー』など、名だたる音楽番組で披露されたパフォーマンスがビデオディスク化されており、これらがリクエストに応じてオンエアされました。これにより、視聴者は過去の名曲を、その時代を彩った歌手自身の歌声と映像で改めて楽しむことができました。

番組の司会は、放送開始当初の1991年4月から9月までの期間は、葛西聖司アナウンサーと徳田章アナウンサーの二人が担当しました。しかし、同年10月以降は、徳田章アナウンサーが単独で司会を務める体制へと変更されました。

番組内容としては、多様な切り口での特集企画が毎週のように組まれました。視聴者からのリクエストに応じる形での、特定の歌手に焦点を当てた企画は特に人気がありました。例えば、島倉千代子や美空ひばりといった不滅の歌手たちの歌唱集、あるいは都はるみや森進一のヒット曲をメドレー形式で披露するワンマンショーのような構成の回も放送されました。また、特定の年代にヒットした楽曲に絞った企画（例：昭和50年代リクエスト曲ヒットパレード）や、季節感やテーマに合わせた特集も多数展開されました。「夫婦の愛を唄った歌」「秋です、お酒が恋しい歌」「ふるさとを思う歌」「男ごころの港歌」「酒と涙の名曲集」といった、視聴者の共感を呼ぶテーマ設定がなされました。さらに、島根県民会館や宮崎県の日向市文化交流センターなど、地方からの公開録画放送も実施され、その土地ならではのリクエストや雰囲気を届けました。

演歌・歌謡曲のベテランから若手まで、幅広い歌手が出演しましたが、時には異ジャンルのゲストが登場することもありました。1991年4月23日に放送された「植木等と仲間達」の回は、植木等を筆頭に、和田アキ子、坂本冬美、近藤房之助、森口博子、所ジョージといった多彩な顔ぶれが集結し、それぞれの代表曲などを披露しました。この回は、後に2007年にNHK衛星第二で再放送されるなど、特筆すべきエピソードとして語られることがあります。

『歌謡リクエストショー』は1992年3月24日に最終回を迎え、その放送を終了しました。しかし、視聴者の声に応え、NHKの豊富な映像ライブラリーを活用して名曲を紹介するという番組スタイルは、その後のNHKの音楽番組にも影響を与えたと言えるでしょう。

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