正楽寺

正楽寺の概要

正楽寺（しょうらくじ）は岡山県備前市蕃山に位置する高野山真言宗に属する準別格本山の寺院で、その山号は日光山となっています。また、正式名称は日光山 千手院 正楽寺です。本尊は十一面観世音菩薩であり、中国三十三観音霊場の第3番札所、および百八観音霊場の第4番札所としても知られています。宗教法人の名称は「千手院」です。

歴史

寺の歴史は、奈良時代中期の天平勝宝年間（749年〜756年）にさかのぼります。この時期に、備前の四十八ヶ寺の一つとして報恩大師によって創建されたと伝えられています。しかし、時の経過とともに寺は衰退しました。その後、鎌倉時代末期の嘉元2年（1304年）に大和国の般若寺からの僧・信賢によって再興され、伽藍が整備されました。この際、寺の名称は勝楽寺であったとも言われています。

江戸時代初期の元和元年（1615年）、火災により伽藍が焼失しましたが、その後、岡山藩主・池田家の保護を受けて、江戸中期から後期にかけて再建が行われました。池田家の歴代の位牌もここに安置されています。

また、寺院の近くには学者・熊沢蕃山が隠棲した屋敷跡が存在し、元々この地は寺口村と呼ばれていましたが、蕃山の隠棲にちなんで蕃山村（しげやまむら）と改称されました。

文化財

正楽寺は多くの重要文化財を有しています。まず、国指定の重要文化財としては、四座講式の4巻（書跡・典籍）があり、明治34年（1901年）に指定されています。

続いて岡山県指定文化財として、重要文化財に指定されているものとして、江戸時代後期に建立された山門があります。これは文化14年（1817年）に播磨国赤穂の棟梁・野村長右衛門信慶によって建設され、平成13年（2001年）に備前市指定有形文化財、平成29年（2017年）に岡山県指定重要文化財に指定されました。

その他、絹本墨画の白衣観音図や、木造の十一面観音立像など、さまざまな貴重な文化財が保護されています。特に本尊の木造十一面観音立像は、平成27年（2015年）に指定されました。

備前市指定文化財の中には、客殿および玄関、鐘楼、そして江戸時代中期に建てられた本堂も含まれています。本堂は正徳元年（1711年）に建てられ、昭和62年（1987年）に指定されました。

札所

正楽寺は、中国三十三観音霊場の第3番札所であり、前後の札所としては第2番の餘慶寺があり、特別霊場として誕生寺が位置しています。

参考文献

この寺院についてさらに知識を深めるには、『吉備の国寺社巡り 2011年版』や現地の説明板などが参考になります。歴史の深さと文化財の豊かさを併せ持つ正楽寺は、訪れる人々に静けさと感動を提供する場所です。

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