武内健

武内健：多彩な役柄と豊かな感性で魅せる声優

武内健さんは、1978年2月20日生まれの東京都出身の声優です。アーツビジョンに所属し、幅広いジャンルの作品で活躍しています。少年時代は、下町の自然豊かな環境で育ち、虫捕りや鬼ごっこなど、活発に外で遊ぶ子どもでした。しかし、大人になるにつれて、内向的な生活を送るようになったと語っています。

声優への道

高校時代は男子校に通い、読書好きが高じて、声優という職業に興味を持つようになります。当初は芸能界への憧れは持っていませんでしたが、進路選択の時期に思い立ち、声優の道へ進むことを決意しました。きっかけは、幼少期に観ていた海外ドラマ『特攻野郎Aチーム』や『ナイトライダー』だったのかもしれません。

両親は武内さんの決意を快く受け入れましたが、担任教師からは猛反対されました。過去の声優志望の卒業生が苦労しているという話を聞かされ、不安視されたのです。それでも武内さんは「なんとかなるだろう」と、声優養成所である日[[本ナレーション演技研究所]]に進学。在学中から少しずつ仕事を獲得し、アーツビジョンに所属することになります。同期には福島潤さん、萩道彦さんがいます。

キャリアと代表作

デビュー当初は、養成所、事務所預かり、正式所属といった区切りが曖昧なままに、仕事が舞い込んできました。そのため、「プロになって最初の仕事」という明確な境目が思い出せないと言います。初期の仕事の一つは、2000年頃の女性向けPCゲームで、主人公のモデルを演じた経験があります。当時、12時間に及ぶ長時間の収録は、休憩時間もなく、昼食も食べずにブースにこもって行われたそうです。

その後、『ゴジラシリーズ』や『クロスファイア』などの東宝作品で、群衆の声などにも参加。アニメーション作品としては、『BLOOD THE LAST VAMPIRE』で初めてアテレコを経験し、本格的なアニメーションの世界へ足を踏み入れました。

最初のオーディションは『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』でしたが、残念ながら落選。しかし、その経験が後々、『DEAR BOYS』の三浦蘭丸役という重要な役への出演に繋がります。当初は主人公役のオーディションを受けていましたが、急遽三浦役も演じることになり、その演技が評価されたのです。

『DEAR BOYS』は人気作品でしたが、アニメや漫画に詳しくなかった武内さんは、オーディションに受かって初めてその人気を認識したと言います。三浦役は女性に人気があり、大きな役を頂いたというプレッシャーを感じたそうです。ほぼ同時期に、『宇宙のステルヴィア』や『グリーングリーン』などでも重要な役を演じ、徐々に知名度を上げていきました。しかし、この頃は経済的に苦労しており、レギュラーの仕事が増えても、ギャラの振り込みが遅れるため、生活費にも困窮した時期があったと振り返っています。

多様な役柄と演技への取り組み

武内さんは、どの作品も特別な意識はなく、常に真剣に役と向き合っています。台本を読んで直感的に役の大筋を決め、心の声のままに声を吹き込むスタイルです。『グリーングリーン』では主人公の高崎祐介役を演じ、ギャグテイストの強い作品だったため、アドリブも交えた自由な演技を経験し、大きな学びを得たそうです。

印象に残っている役柄の一つに、『牙-KIBA-』のデュケム役があります。1年間に渡る作品で、様々な役を演じましたが、シリアスな悪役を演じたのは、このデュケムが初めてだったそうです。部下思いの重厚な悪役を演じることで、役者としての幅を広げることができたと言います。

女性向け作品では、線が細く繊細な役柄が多く、キャラクターの心情を深く理解した上で、丁寧に演技することを心がけています。女性ファンはキャラクターの感情に深く共感するため、演じる側も細やかな表現を心がけなければならないと語っています。

BLCDへの出演と挑戦

BLCDにも多数出演していますが、過去に男性からの痴漢被害にあった経験から、最初は抵抗があったそうです。しかし、ある人物から「声優として成長するには、そういう作品も拒絶すべきではない」とアドバイスを受け、出演を決意。今では作品の世界観やキャラクターを楽しみながら演じていると言います。

BLCDのラブシーンは、特別な勉強はせず、直感と共演者との息抜きで演じているそうです。特に受け役が多いことから、攻める側の演技に合わせ、リアクションを柔軟に変えているそうです。

趣味嗜好と交友関係

武内さんの趣味は、映画鑑賞、ビリヤード、音楽鑑賞です。映画はホラーと恋愛映画以外は好み、音楽は洋楽を多く聴き、歌詞よりもメロディーや雰囲気を重視しているそうです。クラシック音楽、特にピアノ曲は愛聴しており、ショパンやリスト、ベートーヴェンなどの作品を好んで聴きます。

自宅にこもりがちな性格ですが、毎年花火大会には友人と参加するのが恒例となっています。また、ゲームも好きで、『モンスターハンター』シリーズや『牧場物語』、『アストロノーカ』などを熱心にプレイした経験があります。

声優仲間との交流も盛んで、特に養成所時代の同期である福島潤さん、萩道彦さんとは親交が深く、また、仕事を通じて興津和幸さんや羽多野渉さんとも親しいそうです。

まとめ

武内健さんは、幅広い役柄を演じ分け、その演技力で多くのファンを魅了する実力派声優です。少年時代の経験や、声優として歩んできた道のり、そして様々な役柄への取り組みを通して培ってきた感性、豊かな表現力は、これからも多くの作品で輝きを放つことでしょう。

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