武士道はつらい

『武士道はつらい』(原題:Touché，Pussy Cat!)は、1954年に公開されたトムとジェリーシリーズの短編アニメーション作品です。アカデミー賞にもノミネートされた本作は、コミカルな剣戟と、個性豊かなキャラクターたちが織りなすドタバタ劇が魅力です。

物語は、ニブルスが父フランソワの友人であるジェリーを訪ねて始まることから展開されます。ジェリーはパリの国王警備隊、Mouseketeerの隊長を務めるネズミです。ニブルスの目的は、ジェリーの下で騎士修行をすることでした。

ジェリーは早速、ニブルスの剣の腕を試します。しかしニブルスは剣の腕前が未熟で、家の中をめちゃくちゃにしたり、ジェリーの尻に誤って剣を突き刺したりするなど、ドジばかりです。

ジェリーは、闇雲に剣を振るうだけでは真の騎士とは言えないと判断し、ニブルスに騎士道精神を叩き込むため、外へ連れ出します。ところが、そこで運悪くトムと遭遇してしまいます。

ジェリーはニブルスと共にトムから逃れようとしますが、ニブルスは軽率にもトムに勝負を挑み、あっけなく負けてしまいます。

ジェリーは、軽はずみな行動を繰り返すニブルスに騎士の素質がないと判断し、故郷へ帰すことにします。ニブルスはフランソワ宛の手紙を持たされ、寂しそうに故郷へと向かいますが、振り返ると、トムとジェリーが激しく決闘している場面を目撃します。

圧倒的な体格差のため、ジェリーはトムに苦戦しています。ニブルスはすぐにジェリーを助けるため、トムに立ち向かいます。トムとジェリー、そしてニブルスの三つ巴の決闘が繰り広げられた後、ニブルスは機転を利かせ、ワインの樽を壊して「洪水」を起こし、トムをドブに流し込んでしまいます。

強敵を退けたニブルスの活躍はジェリーを驚かせ、ニブルスは警備隊の一員として迎え入れられます。しかし、喜びのあまり調子に乗ったニブルスは、またしてもジェリーの尻に剣を突き刺してしまい、お仕置きを受けてしまいます。「C'est la guerre.(これも戦争だね)」とぼやくニブルスは、ジェリーに呆れ顔で尻を叩かれるのでした。

本作に登場するキャラクターたちも個性的です。トムはジェリーとの剣戟で当初は優位に立ちますが、ニブルスの奇襲によって尻尾を切られるという不意打ちを喰らいます。最後はニブルスの仕掛けた「洪水」に巻き込まれ、ワインと共にドブへと流されてしまいます。

ジェリーはパリ国王警備隊の隊長として登場し、ニブルスを指導しますが、ニブルスの未熟さに振り回されます。トムとの決闘で劣勢に立たされたところをニブルスに救われ、その活躍を評価して再びニブルスを警備隊の一員として迎え入れます。

ニブルスは、騎士修行に励むも、ジェリーからは騎士の素質がないと見なされます。しかし、トムとの決闘でジェリーを救い、その功績によって警備隊の一員となります。その後、調子に乗りすぎてジェリーを怒らせ、お仕置きを受けるというコミカルな展開を見せます。

また、本作では、ジェリーとニブルスが出会った高貴な雌ネズミたちも登場します。ジェリーは紳士的に道を譲りますが、それを真似たニブルスの行動が新たな笑いを生み出します。

原題にもなっているニブルスのセリフ「Touché，Pussy Cat!」は、「一本あり、猫ちゃん」という意味で、日本語吹き替えでは「どうだ、参ったか！」と訳されています。ジェリー率いる「Mouseketeer」は、他のトムとジェリー作品にも登場する組織です。

『武士道はつらい』は、コミカルなアクションとテンポの良い展開、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなすドタバタ劇が魅力の作品です。トムとジェリーの定番の追いかけっこだけでなく、剣戟や騎士道といった要素が加わった、ユニークな作品となっています。

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