武田かりん

武田 かりん

武田 かりん（たけだ かりん）は、1997年生まれの日本の映画監督、そしてイラストレーターとしても活動している人物です。東京都出身で、スターダストプロモーションに関連するクリエイター部門、STARDUST CREATORSに所属しています。

生い立ちと映画への道

武田監督の学生時代は、周囲との関係構築に困難を伴うものでした。中学生の頃にはクラスに馴染むことが難しく、同級生とのコミュニケーションに苦労した結果、学校へ通えなくなり、不登校を経験しています。この辛い時期を引きずったまま高校生に進学した後には、自ら命を絶つことを試みる経験もしています。人とうまく関わることができず、孤独を感じる一方で、誰かと繋がりたいという強い願いも抱いていました。そうした複雑な感情の中、彼女は絵を描くことに没頭していきます。

転機が訪れたのは高校時代のことです。美術の先生から、「名作映画を鑑賞し、心に残ったシーンで一時停止してクロッキーすることで構図を学ぶ」という課題が出されました。この課題で彼女が選んだのは、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』でした。この映画は彼女に強烈な衝撃を与え、特にエンディングで多くのスタッフの名前がエンドロールに流れるのを見て、映画製作が実に多くの人々の共同作業によって成り立っていることを知りました。ちょうど高校卒業後の進路を決定する時期だったこともあり、このまま絵の勉強を続けるよりも、様々な人と協力しながら一つの作品を創り上げる「モノづくり」に挑戦したいという思いが募ります。そして、自身もいつかあのエンドロールに名を連ねる一人になれるかもしれないという希望を抱き、映画の専門的な学びを深めるため、東京工芸大学芸術学部映像学科への進学を決意しました。

監督としての歩み

大学在学中、武田監督は先輩たちの自主製作映画に積極的に参加しました。制作部や助監督など、多様な現場を経験し、映画製作のプロセスを肌で感じましたが、この時期に監督を務めることはありませんでした。監督という役割が彼女に回ってきたのは、東京工芸大学映像学科映画研究室での卒業制作がきっかけでした。当時の武田監督自身、自分が監督になるとは全く予想しておらず、また監督としての適性や能力があるとも考えていませんでした。しかし、そうして手探りながら完成させた短編映画『そして私はパンダやシマウマに色を塗るのだ。』は、学内の卒業制作展での上映にとどまらず、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭でのオンライン上映や、カナザワ映画祭、神戸インディペンデント映画祭でのノミネート・受賞など、国内外で注目を集めることになります。

大学卒業後、2020年には単身で自身の長編自主製作映画の企画を立ち上げます。それが、後に国内外で評価されることになる『ブルーを笑えるその日まで』です。2021年には、翌年の長編撮影を見据え、作品の世界観を示す約3分間のパイロット版を制作しました。

そして2023年、ついに長編映画『ブルーを笑えるその日まで』が完成。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023の長編部門に応募された92作品の中から選ばれ、ワールドプレミア上映を果たしました。また、同年の第24回TAMA NEW WAVEにおいても、コンペティション部門へのノミネート作品に選出されるなど、新人監督として確かな存在感を示しました。

人物と創作の原動力

武田監督の作品には、彼女自身の経験が色濃く反映されています。特に、中学生時代からの対人関係の困難や、高校時代の自殺未遂といった経験は、彼女にとって大きなコンプレックスでした。しかし、ある時「10代の死因で最も多いのが自殺である」というニュースを目にしたことが、彼女にとって重要な転換点となります。孤独感に苛まれた自身の青春時代と重なり、その経験から得た感情やメッセージを多くの人々に伝えたいという強い衝動が、彼女を映画製作へと駆り立てる原動力となりました。

大学進学後は一時絵を描くことから離れていましたが、卒業後のコロナ禍で外出が制限されたことを機に再び描き始め、現在はイラストレーターとしても活動し、仕事も請け負っています。

2023年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で『ブルーを笑えるその日まで』が惜しくも受賞を逃した際、悔し涙が止まらなかったと後に語っており、この経験を通じて自身の映画に対する情熱を改めて強く認識させられたと述べています。

主な監督作品

映画

『そして私はパンダやシマウマに色を塗るのだ。』(2020年) - SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020国内コンペティション短編部門ノミネート 他
『ブルーを笑えるその日まで』(2023年) - SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023国内コンペティション長編部門ノミネート、第24回TAMA NEW WAVEコンペティション部門ノミネート 他

ドラマ

『マイストロベリーフィルム』第3話・第4話 (毎日放送, 2024年)
『アイメイド・マーメイド』 (テレビ神奈川, 2024年)

（出典：STARDUST - スターダストプロモーション - 武田かりんのプロフィール、その他関連情報）

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