武田信玄 (NHK大河ドラマ)

大河ドラマ『武田信玄』

1988年に放送されたNHKの大河ドラマ『武田信玄』は、甲斐の戦国大名である武田信玄（本名：武田晴信）の生涯を描いた作品です。主演は中井貴一が務め、彼にとっては大河ドラマ初出演作となりました。本作は新田次郎の歴史小説『武田信玄』と『武田三代』を原作としていて、特に戦国時代を背景にしたドラマは前年の『独眼竜政宗』に続くものであったため、放送前から多くの期待が寄せられました。

作品の特徴と構成

本作は、信玄の母である大井夫人の視点から物語が語られ、彼女のナレーションが本編に映像を残す形で取り入れられました。大井夫人は、信玄が後世に誤解されることを懸念し、自らの記憶を通じて息子の名誉を守るため、真実を語るという形式を取っています。この独自の手法は、ドラマの印象を深くし、視聴者に親しみを感じさせるものでした。

物語は信玄の初陣から始まり、父信虎との確執、信濃平定を経て、数々の戦いで敵と交渉する様子や三国同盟を結ぶ過程を経て描かれます。特に、上杉謙信との川中島の戦いは本作の重要なイベントであり、両者の信念がぶつかり合う緊迫した場面が多く含まれています。

成功と影響

初回の視聴率は42.5%を記録し、最終的には49.2%に達しました。平均視聴率は39.2%で、前作『独眼竜政宗』との差はわずか0.5%ということで、当時の大河ドラマの中でも特に高評価を得た作品となりました。特に「今宵はここまでに致しとうござりまする」というセリフは、後に流行語大賞にも選ばれました。

制作の背景とキャスト

中井貴一は当初、上杉謙信の役でオファーを受けていたが、信玄役への抜擢に驚き、強いプレッシャーを感じていたと振り返っています。その他、多くの著名な俳優が脇を固め、歴史的な人物たちがリアルに描かれていきました。

また、騎馬武者たちの迫力ある表現も話題となり、山梨県にオープンセットが建設されるなど、制作チームの熱意も伺えます。合戦のシーンでは70頭もの馬が用意され、リアルな戦国時代の雰囲気を醸し出しました。

海外での受容

このドラマは日本国内のみならず、台湾でも放送されるなどの影響を与え、海外での日本の時代劇への関心を高めました。

最後に

『武田信玄』はその後も様々な形で言及され続け、特にコーエーのゲーム『信長の野望シリーズ』などに影響を及ぼすことになります。また、続編や関連作品が製作されることになり、その人気は未だに衰えません。中井貴一の演じた信玄像は多くの人々の記憶に強く刻まれた、影響力の大きい作品です。

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