武田治郎

武田治郎

プロフィール

武田治郎（たけだ じろう）は、1972年9月18日に愛媛県松山市で生まれた日本の元プロサッカー選手、そして指導者です。現役時代はゴールキーパー（GK）として活躍しました。

選手キャリア

愛媛県立松山商業高等学校を経て、1991年にヤンマーディーゼルサッカー部（後のセレッソ大阪）へ入団しました。当時のチームには正ゴールキーパーの伊藤裕二選手がおり、武田選手は入団から3年間、公式戦での出場機会を得るのに苦労しました。1995年には開幕当初こそ正GKを務めたものの、シーズン途中でブラジル人GKのジルマール選手にポジションを奪われ、再び控えに回ります。ジルマール選手が1997年の1stステージ終了後に退団した後も、今度は下川誠吾選手が新たな正GKとなり、武田選手は1998年にチームを離れるまで、主に控えとして過ごしました。

1999年、武田選手はヴィッセル神戸へ移籍します。ここでの活躍は目覚ましく、移籍初年度にしてチームの年間最優秀選手（MVP）に選ばれる栄誉に輝きました。しかし、彼のGK人生において印象的な出来事として語られるのが、2000年に日本サッカー史に名を刻む二人の偉大なストライカー、三浦知良選手と中山雅史選手のJリーグ通算100ゴール目をそれぞれ許した相手ゴールキーパーとなったことです。キャリアの晩年近くには膝の怪我に悩まされ、これが影響して、2001年シーズンを最後に現役を引退することを決断しました。

選手としての武田選手は、いわゆる派手なスーパーセーブで観客を魅了するタイプではありませんでした。しかし、そのプレースタイルは非常に堅実で、常に的確な状況判断を行い、ミスの少ない安定したプレーでチームを支えました。また、ゴールキックやパントキックだけでなく、手から繰り出す素早く正確なスローによるフィードも彼の大きな武器の一つでした。

指導者キャリア

現役引退後、武田選手はすぐに指導者としての道を歩み始めます。2002年から2012年までの長期間、古巣であるヴィッセル神戸で指導にあたりました。最初の3年間（2002年から2004年）はスクールコーチやアカデミーのGKコーチとして若手育成に携わり、その後2005年から2012年まではトップチームのGKコーチとして、プロの選手たちを指導しました。

神戸を離れた後も、彼はゴールキーパーの指導者として様々なクラブを渡り歩きます。2013年から2016年までガイナーレ鳥取のGKコーチを務め、2016年シーズン終了をもって退任しました。翌2017年にはギラヴァンツ北九州のGKコーチに就任しましたが、契約満了に伴い2018シーズンの契約は更新されませんでした。その後、2018年から2022年までFC町田ゼルビアのGKコーチとして指導にあたり、さらに2023年からは当時J2リーグに所属していたいわきFCのGKコーチに就任しました。いわきFCでの指導は2年間続き、2024年11月に契約満了による退任が発表されました。そして、2025年からはレノファ山口FCのU-18チームでゴールキーパーコーチを務めることが決定しています。

武田治郎氏は、選手として堅実なGKの模範を示し、引退後は指導者として長きにわたり多くのゴールキーパーの育成・強化に貢献してきました。そのキャリアは、プロサッカーの世界における一人のキーパーと指導者の軌跡として特筆されるものです。

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