武蔵野線の姉妹

武蔵野線の姉妹

『武蔵野線の姉妹』は、漫画家・ユキヲが手掛けた人気作品です。武蔵野線沿線の埼玉県某市に建つ高級マンションを舞台に、セレブな環境で悠々自適のニート生活を送る姉妹と、彼女たちを取り巻く個性的なキャラクターたちが繰り広げる騒動を描いたコメディ。

連載の歩みと完結

本作は2007年12月14日、ウェブコミック配信サイト『FlexComixブラッド』にて連載を開始しました。その後、2008年6月10日公開の第6話からは派生誌の『FlexComixネクスト』へ移籍。さらに2012年10月以降は、ジー・モードが運営する『COMIC メテオ』へと掲載媒体を移し、作者の別作品『邪神ちゃんドロップキック』と並行して不定期に連載が続けられました。そして2020年5月9日、最終話を含む『武蔵野線の姉妹 完全版』が上下巻同時発売され、その巻末に収録された後書きにて物語の完結が正式に発表されました。

物語のあらすじ

物語の中心となるのは、武蔵野線沿いの高級マンションで裕福ながらも定職には就かず、自由気ままな日々を送る緑川ラン・パンドラ姉妹です。姉のランがメイド喫茶に対して持つ偏見に反発した妹のパンドラは、ランを連れて秋葉原のメイド喫茶へと足を踏み入れます。この出来事をきっかけに、パンドラはメイド喫茶「姫武者」で働くことを決意。ニート生活に満足しきっていたランは、妹が社会と関わり「リア充」化していく様子を見て、戸惑いと反発心を覚えるようになります。姉妹のユニークな日常と、メイド喫茶での新たな出会いが物語を彩ります。

登場人物

本作には、主人公である緑川姉妹をはじめ、多くの魅力的なキャラクターが登場します。

緑川 蘭子（ラン）：姉、24歳。ゴスロリファッションを愛し、マネーゲームで得た資産で深夜のオンラインゲームに興じるニート。大学を首席で卒業しながらも就職せず、身の回りのことも妹任せ。小柄で幼児体型。普段は小心者ですが、非常時には頼りになる一面も。

緑川 ひかる（パンドラ）：妹、20歳。姉と共にニート生活を送りますが、格差社会について真剣に悩む一面も持ちます。BL漫画を愛読。姉には敬語を使いますが、本気になると強烈なボディーブローを放つことも。メイド喫茶との出会いを機に「姫武者」で働くことを決意し、物語の展開を動かします。

英 由良（はなぶさ ゆら）：19歳。「姫武者」の看板ウェイトレス。ネットアイドルとしても人気を博しました。当初は重度の猫かぶりでランと対立しますが、境遇を知ってからは関係が軟化します。

宗方 仁（むなかた ひとし）：27歳。「姫武者」の店長。礼儀正しい好青年で、ランの良き理解者。既婚。物語後期には店を普通のカフェに改装します。

宗方 しずる（むなかた しずる）：22歳。店長の妻で「姫武者」初期からのウェイトレス。「人妻メイド」として常連に人気があります。秋田出身。

藤堂 隆博（とうどう りゅうはく）：25歳。元関西大手メイドカフェ主任。仕事は優秀ですが、女性への態度に難あり。作中ではるいのストーカー騒動に関わります。作者の別作品『邪神ちゃんドロップキック』にも登場を示唆する人物がいます。

音羽 るい（おとわ るい）：17歳。由良の弟（養子）で「男の娘」。当初は問題児でしたが、「姫武者」での労働を通じて改心し、ランから勉強を教わるまでに成長します。

竜崎 華姫（りゅうざき はなび）：26歳。本業はBL漫画家。地味な外見ですが美人でスタイルが良く、カフェに改装された「姫武者」で働くようになります。

* 常連客・その他：千葉茂、尾崎比呂、桂大五郎といった「姫武者」の常連オタクたちも重要なキャラクターで、特に千葉と尾崎はランを「姐さん」と慕います。彼らの一部は『邪神ちゃんドロップキック』にも登場しています。また、地球人誘拐を企むも非常に弱い宇宙人、清少納言と紫式部なども物語に彩りを添えています。

メディア展開

本作は2012年11月17日に実写映画が公開されています。主要キャストとして、ラン役を加藤夏希、パンドラ役を仲谷明香（AKB48）、英由良役を中田ちさと（AKB48）が務めました。

単行本

単行本はフレックスコミックスより全5巻が刊行された後、2020年5月9日には最終話までを収録した『武蔵野線の姉妹 完全版』がメテオCOMICSより上下巻同時発売されました。

『武蔵野線の姉妹』は、セレブでありながらニート生活を送る姉妹の非日常的な日常と、メイド喫茶というサブカルチャーの要素が融合したユニークな設定が特徴です。個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間模様とコメディが魅力の作品と言えるでしょう。

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