歯科口腔保健の推進に関する法律

歯科口腔保健の推進に関する法律

歯科口腔保健の推進に関する法律（通称：歯科口腔保健法）は、平成23年8月10日に施行された法令で、国民の口腔健康を守るための施策を包括的に推進します。この法律は歯科疾患の予防を目的とし、国民が定期的に歯科検診を受けることを奨励する内容となっています。また、高齢者や障害者が適切な歯科医療を受けられるよう配慮されている点も重要です。

法案成立の背景

この法律は、長年にわたる歯科医療界の要望を受けて制定されました。2008年に民主党から、2009年には自民党からそれぞれ法案が提出されましたが、どちらも議会での採決に至らず廃案となりました。その後、『口腔の健康の保持の推進に関する法律案』として再度作成され、日本歯科医師会と日本医師会の協議を経て、最終的に「歯科口腔保健法」となりました。

この法律は、議員立法として第177回国会で採議され、2011年7月26日に参議院厚生労働委員会で可決されました。続いて、衆議院でも全会一致で可決され、成立に至りました。

本法成立時の反応

法が成立した際、歯科医療に関わる多くの団体からさまざまな意見が寄せられました。日本歯科医師会の会長は法の意義を評価しつつも、その施策が「努力義務」に過ぎない点を指摘しました。東京都や千葉県の歯科医師連盟も、それぞれ予算を伴う具体的な実施法の必要性を訴え、法律に基づく取り組みを進めることの重要性を強調しました。

発足後の取り組み

法律が成立した後、厚生労働省には「歯科口腔保健推進室」が設置され、施策の実行を推進する体制が整いました。この推進室は、在宅介護者への歯科口腔保健支援センターの整備など、具体的な施策を進めるために予算を要求し、実際に歯科口腔保健に関連するプロジェクトの実施が開始されました。

2011年の末には、歯科口腔保健法に基づく専門委員会が設けられ、法律の精神に則った具体的な方針や施策が議論されました。また、2012年には、日本歯科医師会が法成立の記念シンポジウムを開催し、法律に関与した国会議員らを迎える形でその意義を再確認する場を設けました。

法律に基づきパブリックコメントが募集され、意見交換が活発に行われました。特に、フッ素洗口や、12歳児のう蝕数及び口腔保健条例に関する議論がありました。

さらに各都道府県もこの法律を基にした施策を取り入れ、自県の歯科保健推進計画を策定するなど、全国的に歯科口腔保健の強化が図られるようになりました。愛知県や福岡県の計画もこの流れを受けたものです。

医療界の未来に向けて

法律成立から数年が経過し、歯科口腔保健に関する活動が徐々に実を結びつつありますが、まだ解決すべき課題は多く残されています。各地の取り組みやその成果を通じて、今後も国民が生涯にわたり質の高い歯科医療を受けられる環境を整えるための努力が続けられるでしょう。歯科口腔保健法は、国民の口腔の健康を守るための重要な法律であり、今後の動向に注目が集まります。

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