死の発送

死の発送

概要

松本清張が著し、1961年から1962年にかけて発表された推理小説『死の発送』は、複雑なプロットと巧みなトリックで読者を惹きつける作品です。元々『渇いた配色』のタイトルで連載された本作は、後に加筆・訂正され、1982年にカドカワノベルズより刊行されました。また、2014年にはテレビドラマに adaptされています。

あらすじ

物語は、元官吏の岡瀬正平が、5億円もの税金を横領して服役後に出所するところから始まります。出所した岡瀬の行動を追っていた夕刊紙の記者、底井武八は、彼が消費した資金の行方を調査するよう命じられます。しかし、岡瀬の出所後、彼は福島県内の山林で無惨な死体となって発見され、その真相を追求すべく底井は、岡瀬の不可解な行動を探る日々を送ることに。

しかし、事件は新たな展開を見せます。編集長の山崎が岡瀬の後を追う中、突如として行方不明になる。そして彼が発見されたときには、なんと自身の死体がトランクに詰められていたという驚愕の事実が待っていました。この重層的なトリックは、底井にとってさらなる謎を呼び起こすことになります。

主な登場人物

底井武八: 夕刊紙Rの記者で、経済的には苦しいが真実を追求する熱意を持っている。28歳。彼の活躍が物語の展開を大きく変える。
山崎治郎: 編集長で、記事の煽情的な書き方で販売数を伸ばすが、その裏には様々な思惑が隠されている。
岡瀬正平: 死体となって発見される元官吏。彼の過去と謎は物語の中心にある。
玉弥: 高級茶屋の芸妓であり、ストーリーの中で重要な役割を果たす。
西田孫吉: 高名な厩務員で、競馬界における重要人物。
立山寅平: 政界の影響力のある代議士。

エピソード

松本清張の『死の発送』は執筆過程でのエピソードも興味深いです。清張は講演旅行のため蒲郡に滞在中、原稿を書いたとされており、その際の周囲との交流が原作に反映されている可能性があります。彼の作業スタイルや作家仲間との会話が、作品に影響を与えているかもしれません。

テレビドラマ化

2014年に放送された『松本清張ドラマスペシャル・死の発送』では、原作のストーリーに様々なアレンジが施され、視聴者を魅了しました。トランクの発送先が岩手県に変更され、鉄道輸送から宅配便に変わるなど、さまざまな工夫が施されています。

本作では、キャスト陣も話題を集めました。底井役の向井理や編集長の山崎役には寺尾聰が抜擢されるなど、人気の俳優たちが登場します。視聴者への緊張感あふれる演出と共に、より多くの人々がこの作品の魅力を体感する機会となりました。

『死の発送』は松本清張の作品の中でも特に名作として位置づけられており、読み進めるたびに新しい発見がある作品です。ぜひ、お手にとってその深い世界観を楽しんでみてください。

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