殺人事件被害者遺族の会

殺人事件被害者遺族の会「宙の会」について

2009年2月28日、「殺人事件被害者遺族の会」、通称「宙の会」が設立されました。この会は、殺人事件の被害者の遺族が中心となり、公訴時効制度の廃止や停止を求める活動を行っています。設立当初から、未解決の殺人事件の遺族が参加しており、現在では設立時から幾度かの加入を経て、様々な事件の遺族が在籍しています。「宙」という名前は、無限の時間を意味し、被害者たちへの思いを象徴しています。

目的と活動内容

「宙の会」の設立目的は、公訴時効制度がもたらす問題に関する意識を高め、制度自体の廃止・停止を政府や社会に訴えることです。特に、「時の経過と共に遺族の感情は薄れる」という従来の考え方に異議を唱え、遺族の心情も重視する社会の理解を求めています。また、DNA鑑定技術の進展から未解決事件の証拠が失われない可能性があることから、特に有力な証拠が残っている事件については、公訴時効を停止することも主張しています。

2010年には、日本国内における重大犯罪の公訴時効を廃止する改正刑事訴訟法が成立し、「宙の会」が当初目指した目的が達成されました。今後は、民事的な賠償制度の確立に向けた取り組みを進めると共に、遺族の実情や人命の尊厳について啓発活動を行っています。

組織と会員

「宙の会」には、多くの遺族や専門家が参加しており、会長の小林賢二氏をはじめ、初代会長の宮澤良行氏や代表幹事の高羽悟氏などが組織を牽引しています。また、特別参与として元警視庁成城警察署長の土田猛氏も活動に関与しています。主な会員には、豊明母子4人殺害事件や世田谷一家殺害事件の遺族など、多岐に渡る事件が含まれています。事務局は東京都千代田区に位置し、公式サイトを通じて連絡を受け付けています。

これまでの取り組みと今後の展望

「宙の会」は設立から現在に至るまで、様々な事件の遺族の代表として活動してきました。この組織の影響により、日本の法制度が変化し、公訴時効の廃止が実現しました。さらに、民事法の賠償制度の確立に向けた活動を行う予定であり、社会全体に対する啓発も重要な任務としています。

例えば、リンゼイ・アン・ホーカーの遺族であるビル・ホーカー氏が「宙の会」を訪れた際、彼は「英国ではこのような事件には時効がなく、容疑者が自由になるべきではない」と意見を述べました。これは、国際的な視点からの法改正の重要性を示すものです。

結論

「宙の会」は、多くの殺人事件の遺族たちの声を代表し、法律制度の改善を図るための重要な活動を行っています。公訴時効制度の廃止を実現したことは大きな成果ですが、さらなる社会への働きかけが求められています。遺族の声がどのように制度に影響を与え、社会全体で犯罪被害者を支える姿勢をどのように築いていくのか、今後の活動にも注目が集まります。

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