母さんがどんなに僕を嫌いでも

母さんがどんなに僕を嫌いでも

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』は、著者の歌川たいじによるコミックエッセイで、最初は2013年に初版が刊行され、2018年には絵を新たに描き直した新版が発行されました。この作品では、著者自身が受けた児童虐待や学校でのいじめ、そしてそれを乗り越えるための人との関わりが描かれています。書籍としての評価が高まり、著名なクリエイターである糸井重里も「心臓がなんどもギュッとなった」とコメントを寄せるなど、広く注目を集めました。また、この物語はNHKによってドキュメンタリーとして二度取り上げられ、著者自身も出演しています。

あらすじ

物語の舞台は東京の下町・業平橋近くです。主人公の「僕」は、5歳の頃から母親による暴力に苦しみ、9歳の時には児童施設に入れられてしまいます。彼にとって心の支えであった「ばあちゃん」とは、施設から戻った直後に両親の離婚が原因で別れざるを得なくなり、その後も母親の生活が荒れ、自らはさらなる虐待に直面します。学校でもいじめが続き、自分自身を「ブタ」と感じるようになります。虐待といじめによるPTSDに苦しむ「僕」は、17歳で家を出ますが、心の傷は癒えずにいます。

そんなある日、「ばあちゃん」の余命が残り少ないという知らせを受けた「僕」は、見舞いに訪れます。その際、「ばあちゃん」がかけてくれた言葉が、彼にとっての人生を変える大きなきっかけとなります。「僕」は、自身の運命に立ち向かう決意を固め、心の傷を癒すための一歩を踏み出すのです。

登場人物

• - 歌川たいじ: 本作の主人公で、作者そのもの。虐待といじめのトラウマを抱えながらも、周囲のサポートを受けて成長します。
• - 母: たいじの心と体に深い傷を与えますが、彼女自身もまた過去の傷を抱えています。
• - 父: 工場を営む父で、家庭への不在と暴力が目立つ存在。
• - 姉: 母の変化に心を閉ざし、無関心を装います。
• - ばあちゃん: 血の繋がりはないが、たいじを孫のように愛し支えます。
• - キミツ: たいじの親友で、彼を助ける存在。
• - かなちゃん: たいじの同僚で、後に親友として支え合う存在。
• - 大将: かなちゃんの恋人で、たいじとも親しい関係です。

書籍と映画

書籍は2013年に単行本として発行され、その後2018年に改訂版がリリースされました。また、同年には小説も出版されています。さらに、同作品を原作とした実写映画が2018年に公開され、注目を集めました。映画は、監督に御法川修、脚本に大谷洋介が関わっており、多くのキャストが出演しています。特に、「歌川タイジ」を演じたのは太賀で、映画を通じてこの物語が広がることとなりました。

この作品は、例えば機能不全家族や毒親のテーマを扱っており、多くの読者に共感を呼ぶ内容となっています。著者自身の体験が基になっているため、よりリアルで強いメッセージ性を持っています。

この作品を通じて、虐待やいじめの克服、他人とのつながりの重要性を再認識させられることができます。

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