毎日こどもしんぶん

毎日こどもしんぶん（まいにちこどもしんぶん）

「毎日こどもしんぶん」は、日本の主要新聞社の一つである毎日新聞社がかつて発行していた、子供向けの週刊新聞です。主な読者層として、幼稚園の年長児から小学校の1年生、2年生にあたる児童を想定して作られていました。この新聞は1976年3月27日に創刊され、毎週土曜日に読者の手元に届けられていました。

歴史と位置づけ

本紙は、すでに毎日新聞社が発行していた「毎日小学生新聞」の姉妹紙として企画されました。「毎日小学生新聞」が主に小学校中学年以上の児童を対象としていたのに対し、「毎日こどもしんぶん」はそれよりもさらに幼い、新聞に初めて触れるような低年齢層に新聞を読む習慣を育んでもらうことを目的としていました。いわば、「毎日小学生新聞」への導入的な役割を担っていたと言えるでしょう。創刊から約24年間にわたり、多くの子供たちに親しまれました。

紙面の内容と特徴

「毎日こどもしんぶん」の最大の特徴の一つは、その紙面が全面フルカラーであったことです。当時の子供向け出版物としては、総天然色の紙面は非常に視覚に訴えるものであり、幼い読者の興味を引きつける工夫が凝らされていました。記事の内容も、子供たちが興味を持ちやすいように厳選されていました。具体的には、身近な出来事から世界のニュースまでを分かりやすく解説する「社会」の記事、動物や植物、自然の不思議に迫る「科学」や「動物」のコーナー、また子供たちの憧れであるスポーツ選手の話題など、多岐にわたるジャンルを網羅していました。硬いニュースだけでなく、楽しみながら学べるような内容が中心でした。

特に、紙面の目玉の一つとなっていたのが、連載漫画です。当時の人気漫画家による作品が、見開き2ページを使って大きく掲載されていました。これは、まだ文字を読むのが得意でない子供たちでも、絵を通して物語を楽しむことができるようにという配慮からでしょう。漫画を目当てに新聞を開く子供も多かったと推測されます。

休刊とその背景

しかしながら、創刊からおよそ四半世紀を経た2000年、本紙はその歴史に幕を下ろすこととなります。具体的には、2000年3月25日に発行された号が最終号となりました。休刊の背景には、複数の要因があったとされています。まず、子供向け出版物市場における競争の激化や、他のメディア、特にテレビや後にインターネットといった媒体の普及により、新聞全体として購読者数を維持することが難しくなっていったことが挙げられます。さらに、社会全体の少子化傾向も、子供を対象とした新聞の発行部数に大きな影響を与えました。これらの要因が複合的に作用し、採算性の維持が困難になった結果、休刊という判断が下されました。

休刊にあたっては、完全に廃止されるのではなく、姉妹紙である「毎日小学生新聞」に紙面の一部が統合される形が取られました。これは、「毎日こどもしんぶん」で培われた低学年向けの記事づくりのノウハウや、一部の連載などが「毎日小学生新聞」の中で引き継がれることになったことを意味します。

紙面を彩った主な漫画作品

「毎日こどもしんぶん」で連載され、多くの子供たちに愛された漫画作品には、以下のようなものがあります。（敬称略）

Uボー（藤子・F・不二雄 ※連載当時は藤子不二雄名義）
ポッポロ（いそほゆうすけ）
でんわかいじゅうナゼゴン（田中道明）
おはよーちゃん（内山安二）

これらの作品は、新聞を読む楽しみを子供たちに提供し、文字情報だけでなく絵からも世界を広げる機会を与えていました。

「毎日こどもしんぶん」は、約24年間の発行期間を通じて、日本の子供たちが初めて触れる新聞として、彼らの好奇心を刺激し、社会や自然への関心を育む役割を担いました。その休刊は時代の変化を示すものでしたが、そこで育まれた経験や記事づくりの精神は、姉妹紙へと引き継がれていったと言えるでしょう。

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