毎日デイリーニューズWaiWai問題

毎日新聞デイリーニューズWaiWai問題：低俗記事と世界への配信

2008年、日本の大手新聞社である毎日新聞社の英語報道サイト「Mainichi Daily News」（MDN）で、深刻な問題が発生しました。同サイトのコラム「WaiWai」において、主にライアン・コネル記者が執筆した記事に、事実と異なる低俗な内容、女性蔑視、性的な描写、そして明らかな捏造が含まれていたのです。この問題は、長期間にわたり世界中に配信され、大きな社会問題へと発展しました。

問題となった記事の内容

「WaiWai」で掲載された問題記事には、次のような特徴がありました。

事実確認不足: 異常な性的嗜好に関する記事、日本の伝統的な祭りを性的に結びつけた記事、海外での日本人観光客による違法行為を捏造した記事など、多くの記事で事実確認がなされていませんでした。
女性蔑視: 特に女性を貶める内容の記事が多く含まれており、性的な搾取や性的暴行を連想させる描写も見られました。
未成年者への言及: 未成年者の性に関する不適切な話題、違法行為である少女買春を推奨するような内容も含まれていました。
データの不正使用: 出典内容の数字を、算出根拠を示すことなく使用していた記事もありました。
一般化の誤り: 数人の女性のコメントを「日本人女性の間で」と一般化して表現するなど、不正確な記述も見られました。
内容の改変・創作: 例えば、漫画を元にした防衛政策紹介記事に、事実と異なる内容が加筆されていました。

これらの問題記事は、MDNの公式ウェブサイト上に掲載され、世界中に配信されていました。購読対象が主に日本人以外であったため、長期間に渡り、多くの日本人が問題に気づいていませんでした。米州機構（OAS）の反人身売買レポートにもMDNの記事が引用されるなど、その影響は国際的な規模に及びました。

問題の発覚と毎日新聞社の対応

2008年4～5月頃、日本のインターネット掲示板などで、「WaiWai」記事への批判や疑問の声が多数寄せられ、問題が表面化しました。批判内容は、「日本人が海外で誤解される」「内容が低俗」といったものでした。実際の記事には、「ファストフードで女子高生が性的狂乱状態」「弁護士が豚を獣姦」といったセンセーショナルで、事実と異なる内容の記事が含まれていました。

毎日新聞社は、初期段階では対応が遅く、コラム閉鎖を即断せず、過去記事の一部削除や閲覧制限といった不十分な対応に終始しました。インターネット上の批判者に対しては、法的措置を示唆するなど、強硬姿勢を見せました。

その後、他社報道や更なる批判の高まりを受け、毎日新聞社は6月21日に「WaiWai」を閉鎖し、謝罪文を発表しました。しかし、この時点では、問題記事が及ぼした悪影響や、掲載された原因などは詳述されず、「調査中」とされていました。

処分とその後

毎日新聞社は、担当記者であるライアン・コネル氏を懲戒休職3か月、英文毎日編集部長らを役職停止とする処分を発表しました。しかし、最高責任者となった社長や他の関係者への処分は、役員報酬の自主返上という形にとどまり、批判を浴びました。

さらに、毎日新聞社はネット上の批判者への法的措置を示唆したことで、批判をさらに拡大させてしまう結果となりました。

2008年7月20日、毎日新聞社は社内調査結果を公表しました。調査結果では、記事の虚偽性、女性蔑視、データの不正使用などを認めましたが、その原因や責任の所在については、曖昧な説明にとどまりました。

問題点と議論

この問題は、虚偽報道、長期間の問題放置、インターネットへの恐怖感、著作権問題など、様々な問題点を浮き彫りにしました。特に、大手新聞社の信頼性が損なわれたこと、そして、世界に向けて発信される情報への責任の重さが改めて問われました。国内メディアは、この問題を小さく取り上げるにとどまり、その原因の一つとして「ネットの攻撃への恐怖感」が指摘されています。

外国メディアの反応

海外メディアの一部は、この問題をジェイソン・ブレア事件に匹敵するほどの重大な事件として報道しました。日本のメディアの反応との違いも大きく、国際的な視点からも、日本のマスコミの姿勢や問題意識が問われました。

結論

毎日新聞デイリーニューズWaiWai問題は、メディアの倫理、情報発信の責任、そしてインターネット時代におけるメディアのあり方について、多くの議論を呼ぶ重要な事件となりました。この事件は、日本のメディア業界に大きな衝撃を与え、情報発信における厳格な姿勢の必要性を改めて認識させるきっかけとなりました。また、インターネットを通じて、瞬時に世界中に情報が伝わる現代において、情報発信元の責任がいかに重大であるかを示す事例となりました。

もう一度検索