比治山バイパス

比治山バイパスの概要

京都府京丹後市峰山町鱒留から同市久美浜町佐野に至る国道312号のバイパス道路として整備されたのが、比治山バイパスです。このバイパス道路の最大の特長は、全長1089mの比治山トンネルの存在です。このトンネルを含むバイパス全体の延長は3520mに及びます。バイパス道路の幅員は、全幅12m(車道6.5m、歩道2.5m)で、設計速度は時速50kmとなっています。道路規格は第3種第3級に分類されます。

バイパス建設の背景

比治山バイパスが建設される以前は、旧比治山トンネルが通行路として利用されていました。しかし、この旧トンネルは幅員が狭く、大型車のすれ違いが困難な状況でした。加えて、トンネルの前後には急勾配と急カーブが連続しており、特に冬期は路面凍結による大型車のスリップ事故が頻発し、通行不能となる事態が何度も発生していました。これらの危険な道路状況を改善するために、比治山バイパスの建設が計画されました。

建設と開通

比治山バイパスの事業は1989年度に開始されました。まず、1997年度にはトンネル前後の現道拡幅区間（1380m）が供用開始され、その後、2000年11月27日に、トンネル区間（1860m）を含むバイパス道路が開通しました。総事業費は約44億円（工事費約43億円、用地費約1億円）にのぼりました。

開通による効果

比治山バイパスの開通は、交通状況や地域経済に大きな変化をもたらしました。まず、交通量については、事業着手前と比較して、2005年度には約1.7倍に増加しました。これは、バイパスが安全で快適な通行路を提供した結果と言えるでしょう。

交通事故についても顕著な改善が見られました。開通前後の1年間で比較すると、人身事故は年間2件から0件に、物損事故は年間33件から5件に激減しました。特に、人身事故については、開通から2005年度末まで1件も発生していません。この事故件数の減少は、バイパス道路の安全性の向上を如実に示しています。

さらに、バイパスの開通は地域経済にも貢献しています。丹後地域の観光入込客数は、事業着手前と比較して、2002年度には約1.5倍に増加しました。これは、バイパスによってアクセスが向上した結果、観光客が増加したことを示しています。

費用便益比は2.65と見積もられており、比治山バイパスの建設は経済的にも大きな効果があったと評価できます。

まとめ

比治山バイパスは、旧トンネルの危険性を解消し、交通量増加、交通事故減少、観光客増加に貢献した重要な道路インフラです。その建設は、安全で効率的な道路網の整備の重要性を示す成功事例として、高く評価できるでしょう。計画交通量は5800台/日でしたが、平成17年度の実測値は6805台/日と、計画を上回る交通量を処理できるだけの能力を有していることが示されています。

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