毛遊び

毛遊び（もうあしび）

毛遊びは、かつて沖縄で盛んに行われていた伝統的な集まりのことです。この慣習は主に夕方から深夜にかけて行われ、若い男女が海辺や野原に集まって共に飲食し、歌や踊りを楽しみながら交流しました。

「毛」という字は「野」を意味し、相互の親密な関係を育む場として利用されていました。地域によっては、アジマーアシビ（辻遊び）、ハマーアシビ（浜遊び）、ユーアシビ（夜遊び）など異なる呼び名もありました。参加者は主に男子が17歳から25歳、女子が15歳から22歳程度で、結婚適齢期にあたる人々が対象となっていました。

このような習慣は沖縄に限らず、古来から日本各地に存在しており、特に「歌垣」と呼ばれる男女の交流の場が古代からありました。ここでは恋の歌を交わしながらお互いの気持ちを確かめ合うことが行われ、性的な関係に発展することもあったのです。しかし、毛遊びは親や共同体によって公に認められており、恋愛関係を築くための社会的な場でもありました。沖縄ではこの風習が近年まで伝承されてきたのです。

また、毛遊びは単に異性との出会いの場としての機能だけではなく、沖縄の独自の文化を伝える大事な場でもありました。民謡や楽器演奏、舞踊、民話などを通じて地域の文化が次世代に受け継がれ、沖縄出身の多くの音楽家たちがこの場で音楽的な才能を磨いていったのです。そのため、毛遊びに参加することは、伝統的な音楽や舞踊を学ぶ貴重なチャンスでもありました。

実際、沖縄の音楽界で知られる多くの重鎮たちは、毛遊びでの経験を通じて成長し、新しい民謡が次々と生み出される源となりました。このような文化の影響は今でも沖縄音楽に色濃く残っています。

しかし、毛遊びは琉球王朝時代から野卑で淫らな風俗として否定的に見られ、禁じられることが度々ありました。明治以降は、政府が推進した風俗改良運動によって徐々に衰退していきました。沖縄戦を経た戦後の時代においても一部地域では1960年代まで続いていたとされます。

現在、毛遊びはその姿を消しましたが、戦後の沖縄においては米軍が持ち込んだビーチパーリー（beach party）が存在します。これは、友人や親戚が海辺に集まって行うバーベキューを中心とした遊びで、日中から夕方にかけて行われることが特徴です。このように、毛遊びに根ざしたコミュニティと交流の形は、現在の沖縄にも影響を与えています。

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