民主化宣言

民主化宣言とは

民主化宣言（みんしゅかせんげん）は、1987年6月29日に大韓民国の盧泰愚（ノ・テウ）大統領候補が発表した重要な政治的声明です。これにより、韓国の政治状況は大きく変化することとなります。正式名称は「国民の大団結と偉大な国家への前進のための特別宣言」と呼ばれ、この宣言の背景には翌年のソウルオリンピックに成功裏に対処するための大統領直接選挙制度の導入や、政治的抑圧を受けていた反体制派の政治家たちの赦免がありました。

内容と意義

民主化宣言は、以下のような政策の新たな枠組みを提案しました。

• - 選挙制度の改革: 大統領選挙法の改正を促進し、公平な選挙の保障を目指しました。
• - 人権の強化: 拘束適否審の拡大など、個人の権利をより保障する措置が講じられました。
• - 言論の自由の拡充: 表現の自由を確保するため、言論基本法の廃止などが提唱されました。
• - 地方自治と教育の自由: 地方自治の実現と、教育分野の自由化が求められました。
• - 政治的対話の促進: 政党の活動を保障することで、対話と妥協を基盤とした政治風土の構築が目指されました。

盧泰愚は、この宣言が受け入れられない場合、自らが公職から退く意向を示し、民正党としてもこの立場を支持しました。7月1日、全斗煥（チョン・ドゥファン）大統領はこの宣言を受け入れ、憲法改正の方向性を定めました。その結果として、韓国の憲法は民主的な手法が採用されることとなりました。

背景と歴史

この民主化宣言が生まれる背景には、1970年代の強圧的な政治体制がありました。朴正煕（パク・チョンヒ）政権が推進した強権政治は、治安の維持や経済の発展を名目に国民の自由を抑圧していました。しかし、1979年の朴正煕の暗殺以降、韓国社会は大きく揺れ動きました。

新たな権力者たちが国家権力を掌握し、民主化の流れを抑える中、全斗煥政権もまた強硬な姿勢を崩しませんでした。しかし、1985年の国会議員選挙での反体制の台頭は、国民の意識の変化を示すものでした。

特に1987年には、全斗煥政権に対する抗議行動が激化しました。学生運動や市民運動が大規模に展開され、数十万人がデモに参加しました。このような情勢の中、韓国政府はソウルオリンピックの開催を控えてあったため、国際的なイメージを考慮し、より民主的な政治への移行を余儀なくされました。

その後の展開

民主化宣言の後、韓国の政治は徐々に変わり始めましたが、内部の対立も生じました。金泳三（キム・ヨンサム）と金大中（キム・デジュン）という主要な野党指導者たちの競争は激化し、一時的に反軍政票が分裂しました。それでも1992年の選挙では金泳三が大統領に当選し、軍事政権から文民政権への移行が進みました。

また、民主化運動を牽引した元学生たちは、386世代と呼ばれ、国会や政治の現場で活躍しています。2004年の国会議員選挙では、革新政党が議席を獲得するなど、政治の多様化が進展しました。

このように、民主化宣言は韓国の政治システムに深い影響を残し、以降の時代へと続く民主主義の礎を築くことになったのです。

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