民主66

オランダ社会自由主義政党「民主66」：その歴史と現状

オランダの政界において重要な役割を果たす社会自由主義政党、民主66（Democraten 66、略称：D66）。本稿では、その歴史、支持基盤、組織、そして現在の活動状況までを詳細に解説します。

結党と初期の活動 (1966-1974)

1966年、ジャーナリストのハンス・ファン・ミエルロ氏を中心とした若き知識人グループによって、民主66は設立されました。同年9月には「我が国の民主主義の深刻な切り下げを懸念する全ての人々へのアピール」を発表し、大きな反響を呼びました。翌1967年の総選挙では、前年に発生した政治危機を追い風に、7議席を獲得。その後も労働党、急進党との政治同盟を形成し、議席数を増やしていきました。しかし、1972年の選挙では議席数を減らし、党の存続すら危ぶまれる状況に陥りました。

党の変革と再建 (1974-1985)

1974年には、党の解散動議が提出されるほどの危機に瀕しましたが、辛くも存続。党首となったヤン・テルロー氏は、政治改革よりも環境問題や社会問題に重点を置く戦略を採り、党の再建に尽力しました。1977年の選挙では8議席を獲得しましたが、連立交渉は難航。1981年の選挙では17議席へと躍進、連立政権に加わりました。しかし、その後再び議席を減らすなど、安定した政権参加には至りませんでした。1985年には、創設者であるミエルロ氏が再び党首に返り咲きました。

連立政権参加と党勢の拡大 (1985-2006)

ミエルロ氏の復帰後、D66は着実に議席数を増やし、1994年の選挙では24議席を獲得。初の「紫連立」（社会民主主義政党と自由主義政党による連立）政権に加わりました。その後も連立政権に参加するものの、2002年以降は議席数を減らし、再び野党に転落しました。2006年には、移民担当大臣の不信任決議をきっかけに連立政権を離脱するという出来事も経験しました。

現代の民主66 (2006-現在)

2006年の選挙では、結党以来最低となる3議席しか獲得できませんでした。しかし、新党首アレクサンデル・ペヒトルト氏の下で党改革を行い、2010年以降は議席数を回復。2017年と2021年の選挙では、いずれも19議席、24議席を獲得し、連立政権の中枢を担う存在となりました。現在はシフリット・カーフ氏が党首を務めています。

支持基盤と党組織

D66は、特に大学卒業者層、大都市や富裕層の多い地域で強い支持を得ています。党員数は3万人を超え、増加傾向にあります。党にはシンクタンクである「ハンス・ファン・ミエルロ財団」や青年組織「青年民主党員」といった関連団体も存在します。また、欧州自由民主改革党（ALDE）や自由主義インターナショナル（LI）といった国際組織にも所属しています。

結語

民主66は、オランダ政界における重要なプレーヤーとして、その歴史の中で様々な困難を乗り越え、現在に至っています。今後も、社会自由主義の立場から、オランダ社会の改革に貢献していくことが期待されています。その動向から目が離せません。

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