民訴裁判所主席裁判官

イングランド民訴裁判所主席裁判官の歴史

イングランド民訴裁判所主席裁判官（Chief Justice of the Common Pleas）は、イングランド及びウェールズにおける民事訴訟を扱う裁判所の長です。この裁判所は、1090年代に設立され、長い歴史を有しています。最初は複数の裁判官が共に裁判を担当していましたが、次第にその中で上席となる裁判官が指定されるようになり、最初にその地位に就いたのは、サイモン・オブ・パティスホールという人物です。彼は1190年から1207年にかけて裁判官を務めました。

民訴裁判所と王座裁判所（設立は1234年）との役割分担については、初めのうちは非常に曖昧でした。しかし、1237年には両裁判所の管轄が明確になり、弁護側が「これは民訴裁判所の管轄である」と主張した裁判事例が記録されています。1272年までには、両裁判所は完全に別々の機関として機能するようになり、それに伴い、民訴裁判所主席裁判官の正式な任命が行われるようになりました。この年、民訴裁判所は王座裁判所よりも下位に位置付けられ、民訴裁判所の判決には王座裁判所への控訴が可能でした。

その後の数世紀にわたり、民訴裁判所主席裁判官は任命され続け、例えば清教徒革命などの戦乱の時期にもその機能が保たれました。一方、1873年には裁判所法が改正され、民訴裁判所は王座裁判所、大法官府裁判所、財務裁判所とともに高等法院に統合されました。これにより、民訴裁判所は高等法院の民訴部として存在することとなったのです。

最後の民訴裁判所主席裁判官である初代コールリッジ男爵ジョン・コールリッジは、民訴部の主席裁判官に移行しましたが、1880年の晩秋、王座部主席裁判官のサー・アレグザンダー・コウバーンや財務部主席裁判官のサー・フィッツロイ・ケリーが相次いで亡くなると、民訴部と財務部は1881年に統合され、コールリッジも王座部主席裁判官に昇格することになりました。

歴代主席裁判官の一覧

イングランド民訴裁判所の主席裁判官には、多くの著名な法曹が名を連ねています。以下に代表的な主席裁判官の任期を示します。

• - サイモン・オブ・パティスホール（1190年 - 1207年）
• - マーティン・オブ・パティスホール（1217年 - 1229年）
• - ウィリアム・オブ・レイリー（1233年 - 1234年）
• - サー・トマス・モルトン（1234年 - 1236年）
• - ロバート・オブ・レキシントン（1236年 - 1244年）
• - ヘンリー・オブ・バース（1245年 - 1256年）
• - …
• - サー・ウィリアム・ボヴィル（1866年 - 1873年）
• - 初代コールリッジ男爵ジョン・コールリッジ（1873年 - 1880年）

これらの裁判官たちは、イングランドの法制度の発展に大きな影響を与えており、彼らの判決は今なお法律に影響を及ぼしています。民訴裁判所は、現代に至るまで非常に重要な役割を果たしており、その歴史と意義は今後も語り継がれることでしょう。

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