気生藻

気生藻についての詳細

概要

気生藻（きせいそう）は、陸上の様々な表面に付着し、自然の水分供給によって成長する藻類の一種です。この概念は20世紀初頭から認識され始め、初めての研究は1907年のセイロン島で行われました。その後、1910年にはドイツでサンプルが採取され、1913年にはその研究結果が論文として発表されました。

気生藻は基本的に単細胞生物や糸状の形態を持ち、多くは原核生物の藍色植物門や真核生物の不等毛植物門、緑藻植物門に分類されます。これらは樹皮や岩、葉など、またコンクリートや木材といった多様な基質に生えることが知られています。また、特定の気生藻種は地衣類と共生しており、スミレモなどがその例です。

分類と構成

ホフマンによる研究では、気生藻は付着する基質によって幾つかのグループに分かれています。これには土壌藻類、岩生藻類、洞窟藻類、氷雪藻類、植物着生藻類、動物着生藻類が含まれており、それぞれ異なる環境条件に特化した種が確認されています。

気生藻は藻類と陸上植物の中間的な存在であることから、植物の陸上進出に関する研究にも重要な役割を果たすことが期待されています。たとえば、ストレプト藻に属するクレブソルミディウム藻綱のゲノム解析から、光に対する適応機構や植物ホルモンの存在が確認され、これらが植物が陸上に進出するための重要な遺伝的背景の一部であることが明らかになっています。

関連する藻類

気生藻に似た存在として、空中に浮遊している気中藻（airborne algae）もあります。気中藻については地域や季節による変動が研究されていますが、種レベルでの詳細な同定はほとんど行われておらず、その実態は依然として不明です。降雪の際には緑藻類が観察されることがあり、特にトレボウクシア藻綱の出現が報告されています。

増殖と分布

気生藻や気中藻は水蒸気の凝縮によって雲の中を漂いながら移動し、湿った環境で増殖することが考えられています。このような現象は、バクテリアや藻類が水蒸気の核として機能することから説明されます。実際、気中藻には3門103属が確認されており、陸上の藍藻以外にも1000種以上の藻類が記録されています。

人間活動への影響

気生藻は建物の外壁に付着し、見た目の汚れを引き起こすだけでなく、水分を保持することによって壁のひび割れや剥離を引き起こすことがあります。また、湿度が高くなることで真菌の発育が促進され、健康へのリスクをもたらす可能性もあります。

主な気生藻の構成生物

気生藻を構成する生物には以下のものが含まれます：

• - シアノバクテリア門（藍藻）

- Hassalia属: コンクリートやブロック塀に付着し、黒褐色の布状群落を形成する種が見られます。
- Scytonema属

• - 緑藻:

- Trentepohlia属: 樹皮にカーペット状の緑色群落を形成することがあります。
- Klebsormidium flaccidum: コンクリートに布状群落を形成。
- Chloroidium ellipsoideum: ガードレールに粉状の群落を形成します。

このように気生藻は陸上に生育する藻類の中でも特異な役割を果たしており、今後の研究が期待されます。

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