気象津波

気象津波（きしょうつなみ）とは

気象津波とは、主に気圧変動によって引き起こされる海洋長波の一種であり、英語では「meteo-tsunami」と呼ばれています。この現象は、プラウドマン共鳴と称される気圧の副振動が主な外的要因となります。気象津波は特に晴れた海面で、突然に大きな波を発生させることがあり、これは世界各地で観察されています。

概要とメカニズム

気象津波の形成メカニズムは、いくつかの主な外因に分かれています。気圧の変動、共鳴（固有周期）、そして繰り返し発生する共鳴（波浪や気圧など）がその要素として挙げられます。そして、気象津波においては、プラウドマン共鳴（気圧）が特に重要です。気圧の擾乱が移動する際に、それが海洋長波を励起することで、波の位相速度と気圧の変動が一致した結果、共鳴が起こります。このように、急激な気圧変化が生じる場合、波動の増幅程度も大きくなる傾向があります。

日本の西日本地区において見られる「あびき」は、この気象津波の典型的な例とされています。これは、東シナ海を移動する気象擾乱が、微小な振幅の海洋長波を生成し、それがプラウドマン共鳴によってさらに増幅される現象です。また、地中海周辺では、スペインにおける「rissaga」、イタリアの「marubbio」、マルタの「milghuba」といった用語が使われ、これらも気象津波の一種と見なされています。

気象庁では主に九州地区の現象に「気象津波」として「あびき」という名称を用いていますが、他国の気象機関では異なる呼称が使われることもあります。例えば、オランダの気象局では北海での気象津波を「一過性高潮」として分類していますが、このように、名称が統一されているわけではありません。

気象津波の事例

過去に発生した気象津波の事例としては、1979年に長崎湾で発生したものが挙げられます。この際には波の高さが約5メートルに達し、3名が死亡する事態となりました。また、2021年には台風16号の北上により東京湾においても気象津波が発生し、注目を集めました。さらに、2022年にはフンガ・トンガ噴火の影響によっても気象津波の現象が見られました。これらの事例は、気象津波がいかに危険な自然現象であるかを物語っています。

まとめ

気象津波は、気圧の急激な変動に起因する海洋長波で、世界の多くの地域で確認されています。そのメカニズムや影響についての理解を深めることで、今後の報道や予測に活かし、被害を最小限に抑える努力が求められています。

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