水平対向8気筒

水平対向8気筒エンジンの魅力と特色

水平対向8気筒エンジンは、シリンダーが2列に分かれ、各列に4つずつ配置されるエンジン形式です。この配置は、特にピストン式内燃機関において多く見受けられます。海外でこのエンジンは「フラット8（Flat-Eight）」と呼ばれ、略して「F8」と表現されることがあります。また、ボクサー8（Boxer-8）という用語も使用されることがあり、これをB8と略することもあります。

シリンダー配置の分類

このエンジンは、クランクシャフトの位相によって2つの異なるタイプに分類されます。狭義の水平対向エンジンは、対向シリンダーが180°の位相角を持つため、ピストン同士の動きが対称的で振動を打ち消す効果があります。一方、180°V型エンジンは、クランクピンを共有し、ピストン同士がほぼ一定の間隔で動く構造であり、このエンジン形式では振動が打ち消されません。

自動車における利用状況

水平対向8気筒エンジンは、自動車ではそれ程一般的ではありませんが、特定のモデルでその性能が活かされています。中でも有名な例が、1968年に登場したポルシェ・908です。このモデルには2,997ccで350馬力を発揮するエンジンが搭載され、最終的には908/3のバージョンで370馬力に発展しました。ポルシェはこの他にも、1962年にF1世界選手権に投入したポルシェ・718に1,981cc 210馬力の空冷エンジンを搭載した718/RS61や、1494cc 180馬力の753型エンジンを持つポルシェ・804といったレース専用車両でも水平対向8気筒エンジンを使用しています。

航空機における採用例

航空機用のエンジンとしても、水平対向8気筒エンジンの採用が広く見られます。特に、コンチネンタルとライカミング社が開発したIO-720シリーズは、1960年代から現在に至るまでの長い間市場で販売を続けている名機です。このエンジンは、軽量で高出力が求められる航空機に最適であり、性能の面でも評価されています。また、オーストラリアのJabiru Aircraftによって販売されている5.1リットルのJabiru 5100エンジンも、このエンジン形式の代表的な例です。

まとめ

水平対向8気筒エンジンは、その独特な設計と出力特性から、自動車や航空機の両方において特定のモデルで採用されています。このエンジン形式は、振動を抑えることで安定した運転が可能であり、技術的な挑戦と成功の象徴とも言えるでしょう。今後も、このエンジン形式が進化し、より多くの用途で利用されることが期待されます。

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