水撃作用

水撃作用（すいげきさよう）とは

水撃作用、あるいはウォーターハンマー現象は、配管内で水流が急に締め切られた際に発生する衝撃で、これは水の慣性によって引き起こされます。特に弁の閉鎖、配管の急激な充水、ポンプの急停止などが主な原因です。この現象が発生すると、配管の寿命が短くなり、最悪の場合、破損を引き起こすことがあります。ただし、この現象は水だけでなく、気体などの流体全般にも起こり得ることを理解しておく必要があります。

水撃作用のメカニズム

水撃作用が起こると、流体の流速が瞬間的にせき止められることにより、圧力の急激な変化が発生します。具体的には、

$$ Δp = ρau $$

という式に表されるように、流体の圧力上昇（Δp）は、その密度（ρ）、流速（u）、および音速（a）に依存します。このように、流体が急激に停止すると、その前方で正の圧力が生じると同時に、後方では負の圧力が発生し、これがさらなる衝撃を生じさせます。

負圧が強まることで液体が気化し、部分的に蒸気で満たされる現象（キャビテーション）も発生します。ここでは、気化した蒸気が再び液体に戻る際に衝撃が起こることがあります。また、冷水の配管に高温の蒸気が流れ込むことで発生する現象もあり、これも水撃作用の一種と言えます。特に蒸気式ラジエーターの配管でこの現象が発生することを「スチームハンマー」とも呼びます。

自動車におけるウォーターハンマー

水撃作用は、自動車やオートバイの内燃機関においても考慮する必要があります。例えば、エンジンが水没した際、シリンダー内に液体が入り込みます。通常、この状態でエンジンを再始動しようとすると、水がピストンの動きを妨げ、最終的にコンロッドなどの部品が破損する可能性があります。これは、水没以外にも、転倒によってエンジンオイルや燃料が漏れ、シリンダー内に液体が侵入する場合にも当てはまります。

水撃作用の影響を受ける分野

特に水力発電所などでは、この水撃作用の影響が非常に大きく、配管や弁などの可動部分が損傷する可能性が高まります。そのため、サージタンクなどの設備が必要になります。一般家庭においても、全自動洗濯機の給水弁の自動開閉によって発生する「カーン」という音が、水撃作用から起こるものです。以前は電子制御が普及する前、これにより可動部のパッキンが損傷しやすく、漏水や破裂の原因となることがあったため、対策が求められました。

防止策

水撃作用を防ぐためには、急激な水流の締め切りを避けることが一つの重要な対策です。例えば、水栓に節水コマを設置したり、圧力逃し装置（サージタンクやアキュムレーターなど）を取り入れたりすることが挙げられます。また、内燃機関においては、水没後即座に点火プラグを外し、液体を強制的に排出する方法が推奨されます。

結論

水撃作用は、身近なところで発生しうる現象であり、その影響は多岐にわたります。定期的なメンテナンスや新しい技術の導入を通じて、早期に問題を発見し、対策を講じることが非常に重要です。

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