水族館

水族館：水中の生き物たちとの出会い

水族館は、海や川、湖沼などに生息する多様な生き物たちを展示する施設です。魚類はもちろん、無脊椎動物、両生類、海獣類、爬虫類、そして水草など、様々な水生生物をガラスやプラスチックの水槽で展示し、来場者に見せています。その規模は様々で、巨大な水槽を備えた大規模なものから、小規模な施設まで存在します。イルカやアシカなどの海獣によるショーを開催する水族館もあり、人気を集めています。

水族館は、動物園の一施設として存在する場合や、遊園地などの複合施設に併設されている場合もあります。立地場所も様々で、海岸近くにある水族館もあれば、都心のビル街にある水族館もあります。海岸に近い場所に立地する主な理由は、水槽の水や餌となる生物の確保が容易でコストを抑えられること、そして水辺の生き物の調査研究がしやすいという点です。しかし、近年は都市部でも水族館が建設されており、景観やアクセス性の良さも立地選定の重要な要素となっています。

水族館の歴史：4つの流れ

水族館の発展には、大きく分けて4つの流れがあります。それぞれが独立しているわけではなく、互いに影響し合いながら発展してきました。

1. ホームアクアリウムの流れ: 17世紀のヨーロッパでは、熱帯魚飼育ブームが起こり、水槽設備の開発が進みました。このブームは、科学的な視点（魚の飼育方法の研究）と芸術的な視点（魚の図鑑作成）の両方から牽引されました。この流れの中で、世界初の水族館の一つと言われる展示が、1830年にフランスのボルドーで行われました。

2. 動物学研究の流れ: 18世紀の近代科学の発展に伴い、動物学研究の一環として、研究施設を一般公開する考え方が広まりました。ロンドン動物園（1828年開園）の付属施設として水族館が作られたことが、この流れの大きな転換点となりました。初期の水族館は規模が小さく、フランスの国立自然史博物館の爬虫類コーナーに小さな水槽が置かれた程度でしたが、1853年にはロンドン動物園に本格的な水族館（フィッシュハウス）が誕生しました。

3. 万国博覧会などの博覧会: 18世紀以降のヨーロッパでは、産業革命の成果を誇示するために多くの博覧会が開催され、水生生物の展示は博覧会の目玉となりました。博覧会で注目を集めた水族館の中には、その後も継続して運営されるものが多くありました。日本の第2回水産博覧会（1897年）で展示された水族館もその一つです。

4. 臨海実験所: 18世紀後半以降、海洋資源開発のため水産学研究が盛んになり、臨海実験所が建設されました。研究のため海洋生物を飼育する水槽などを備えた臨海実験所は、入場料を徴収して一般公開を行い、研究費を賄うケースもありました。景観の良い場所に建設されることが多かったため、観光施設としての側面も持つようになりました。第二次世界大戦前の日本の水族館の多くは大学などの臨海実験所の付属施設でした。

初期の水族館と発展

世界初の水族館については諸説ありますが、1830年のボルドーでの展示や1853年のロンドン動物園のフィッシュハウスが有力視されています。その後、ヨーロッパやアメリカで次々と水族館が開館し、技術や展示方法も発展していきました。ドイツのベルリン水族館（1869年開館）は、教育に重点を置いた設計が特徴でした。一方、日本では1882年の上野動物園に小さな淡水の水族館「観魚室」が設置され、1897年の第2回水産博覧会で初めて「水族館」という名称が使用されました。

日本の水族館は、バブル経済期に多くの施設が建設されましたが、老朽化や景気低迷の影響で閉園する施設も出てきています。海水を使用することから、設備の劣化が早く、施設の寿命は30年程度とされています。

世界の水族館と日本の水族館

2010年代初頭には世界で約500館の水族館があると推定されており、その約2割が日本に集中しています。日本には巨大な水槽を持つ水族館も多く存在します。

動物福祉

近年、水族館における動物福祉への関心が高まっています。特にクジラ類の飼育環境については、水槽の設計、エンリッチメント（環境エンリッチメント）、異常行動など、改善すべき点が多く指摘されています。

水族館を舞台とした作品

水族館を舞台とした映画や小説などの作品も多く存在します。これらの作品は、水生生物の魅力や水族館の役割、そして動物福祉などの問題を、様々な角度から描き出しています。

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