水酸化アンモニウム

水酸化アンモニウム（アンモニア水）について

水酸化アンモニウムは、化学式NH3(aq)で表されるアンモニアの水溶液を指す際に用いられる名称です。一般的にはアンモニア水とも呼ばれています。かつては、この水溶液中でNH4OHという化学種が中間体として存在すると考えられていましたが、現在ではその存在は否定されています。

水酸化アンモニウムは、実際には[NH4+][OH-]のように塩の形で表されることがありますが、これはあくまで形式的な表現であり、これらのイオンが単独で分離されることはありません。水溶液中でのみ存在します。

塩基性度

アンモニア水溶液中では、アンモニア（NH3）と水（H2O）の間で、以下の平衡反応が起こります。


NH3 + H2O ⇌ NH4+ + OH-


この反応により、水酸化物イオン（OH-）が生成されるため、アンモニア水は塩基性を示します。

1Mのアンモニア水溶液では、アンモニアの約0.42%がアンモニウムイオン（NH4+）に変化し、pHは約11.63となります。この反応における塩基解離定数（Kb）は以下の式で表され、その値は約1.8 × 10^-5です。


Kb = [NH4+][OH-] / [NH3] = 1.8 × 10^-5

実験室での利用

アンモニア水は、実験室で様々な用途に利用されています。特に、定性分析においては重要な試薬として用いられます。

1. 金属イオンとの反応：アンモニア水は、銅(II)イオン（Cu2+）と反応すると、特徴的な深青色の溶液を生成します。この反応は、銅イオンの検出に利用されます。また、硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えると、初めは酸化銀(I)が沈殿しますが、過剰に加えるとジアンミン銀(I)イオン錯体として溶解します。この反応を利用した試薬はトレンス試薬として知られています。

2. 過酸化水素の分解: アンモニア水は、金属イオン（例えばCu2+）の存在下で過酸化水素水と混合すると、過酸化水素の分解を促進します。この反応は、過酸化水素の分解実験などで利用されます。

まとめ

水酸化アンモニウム（アンモニア水）は、アンモニアの水溶液であり、様々な実験において重要な役割を果たしています。その塩基性度や金属イオンとの反応は、化学分析や実験において不可欠な知識です。

参考情報

• - 酸と塩基

この解説では、水酸化アンモニウム（アンモニア水）の基本的な性質、反応、実験室での利用について詳しく説明しました。これらの情報を理解することで、化学の学習がより深まるでしょう。

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