水酸化カリウム

水酸化カリウムについて

水酸化カリウム（KOH）は、白色の結晶形態をした硬くもろい化合物で、カリウムと水酸化物イオンから成るイオン結晶です。別名では「苛性カリ」としても知られています。化学式はKOHで、分子量は56.11です。その生成は塩化カリウムの水溶液を電解する過程を通じて行われますが、この過程では完全に水分を除去することはできません。市販される水酸化カリウムの多くはKOHの含有量が約85%であり、無水物と一水和物（KOH·H2O）の混合物と共に、若干の炭酸カリウムが含まれています。

性質

水酸化カリウムは潮解性を有し、水やエタノールに優れた溶解性を示します。その水溶液は高いアルカリ性を持っており、特にタンパク質に対しては非常に強い腐食性があります。このため、毒物及び劇物取締法では劇物に分類されています。

水に溶ける際には、以下のような反応が進行します。

• - KOH (s) + H2O (l) ⇌ KOH·H2O (s)

この反応において、発生する水和熱は-38.31 kJ/mol、さらに、KOHが完全に分解する際の反応は以下の通りです。

• - KOH (s) ⇌ K+ (aq) + OH− (aq)

この反応では、熱の変化が-57.61 kJ/molとなります。

水酸化カリウムは水酸化ナトリウムよりも高いアルカリ性を示すため、時には無機化学工業で代用品として利用されることがあります。特に、ベンゼンスルホン酸塩のアルカリ融解や、油脂の鹸化では、水酸化ナトリウムよりも迅速かつ効果的に反応することが知られています。

吸収特性

多くの塩基と同様に水酸化カリウムも二酸化炭素を吸収する能力を持ちます。この能力は特にその固体及び濃厚水溶液において水酸化ナトリウムよりも強く、反応生成物である炭酸カリウムが水に溶けやすいことが要因です。

• - 2 KOH + CO2 → K2CO3 + H2O

資源

古くから人間生活において重要な役割を果たしてきたカリウムは、陸上生物によって体内に濃縮されてきました。そのため、植物灰がカリウム資源として利用されてきましたが、現代では岩塩鉱の副産物が主要なカリウム源となっています。日本ではカリウム鉱物が存在しないため、カリウム化合物は主に輸入に依存しています。一般的に、カリウム化合物はナトリウム化合物に比べて価格が高いことが多くなります。

用途

水酸化カリウムはその強力なアルカリ性を活かし、様々な用途に利用されています。特に、油脂の鹸化価を調べる際には、そのエタノール溶液が利用され、反応速度が水酸化ナトリウムよりも早いため、広く用いられています。さらに、廃油や毛髪による配管の詰まりを解消する洗浄剤、石鹸の製造にも使用されます。液体石鹸の製造に際しては、水酸化カリウムが幅広く用いられています。また、急激な油汚れやタバコのヤニに効果的なクリーニング製品としても取り扱われています。

医薬品の製造や、キノコの識別（ドクツルタケとシロタマゴテングタケの判別など）、皮膚疾患の検査方法に活用されるなど、多岐にわたる用途を持ちます。2008年度における日本国内の水酸化カリウムの生産量は136,272トンで、消費は28,044トンでした。

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