永井幸次

永井幸次：日本の音楽教育に尽力した先駆者

永井幸次（ながい こうじ、1874年2月21日 - 1965年4月7日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の音楽教育者であり、大阪音楽大学（現大阪音楽大学）の創設者として知られています。彼の生涯は、日本の音楽教育の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと音楽との出会い

永井幸次は、1874年に鳥取県鳥取市で生まれました。父は鳥取藩の藩校「尚徳館」の教師であり、教育熱心な家庭環境で育ちました。幼少期、叔父から贈られた唱歌集がきっかけで音楽に興味を持ち、7歳頃からは賛美歌も習い始めました。この頃から、音楽の才能を開花させていったと考えられます。

教育者としてのキャリア

18歳で上京し、東京音楽学校（現東京藝術大学音楽学部）を卒業。静岡県師範学校での勤務を経て、1900年に鳥取師範学校に赴任し、教鞭を執りました。その後、鳥取県立鳥取中学校や鳥取県立鳥取高等女学校でも教え、唱歌とオルガンの指導に力を注ぎました。

1906年、大阪府立清水谷高等女学校に転任。ここでは、音楽教育改革に積極的に取り組みました。卒業式での学芸会を大規模な音楽会として開催し、成功を収めました。その後も、21回にわたって音楽会を開催し、同校の音楽教育の質を向上させました。また、大阪市内の小学校教員と勉強会「七声会」を結成し、唱歌教育の改善にも尽力しました。1909年には、田中銀之助とともに「女子音楽教科書」を出版し、全国の高等女学校で基準として採用されるようになりました。

大阪音楽学校の創設

永井幸次の長年の夢であった音楽学校設立は、1915年についに実現します。大阪市南区塩町（現・中央区南船場）に「大阪音楽学校」を開校し、初代校長に就任しました。西日本初の音楽学校として、多くの音楽家を育成しました。その後も、大阪音楽学校の発展に尽力し、1933年には財団法人化、1948年には「財団法人大阪高等音楽学校」を設立しました。1951年には「学校法人大阪音楽短期大学」に組織変更し、自ら学長に就任。1958年には「学校法人大阪音楽大学」を設立し、初代学長に就任するなど、総合的な音楽教育機関として大阪音楽大学グループを整備しました。

系譜

永井家は、鳥取藩の士族の家柄で、父の脩は尚徳館の教師でした。永井幸次の長女である義の夫は、合唱指揮者で大阪音楽大学教授の長井斉であり、その三男にはピアニストの長井充がいます。

主な作品

永井幸次は、教育活動だけでなく、作曲家としても才能を発揮しました。主な作品には、「かみなりさま」「五一じいさん」「千早城」などがあります。また、数多くの学校の校歌も作曲しており、その数は40校以上に及びます。

著作

永井幸次は、音楽教科書や指導書などの著作も多数残しています。特に、「女子音楽教科書」は、当時の女子教育において重要な役割を果たしました。

晩年

永井幸次は、1965年4月7日に91歳で生涯を閉じました。彼の情熱は、音楽教育の発展に大きく貢献し、今日でも多くの人々に影響を与え続けています。

まとめ

永井幸次は、日本の音楽教育の発展に生涯を捧げた教育者であり、作曲家でした。彼の功績は、大阪音楽大学の設立だけでなく、音楽教科書の編纂や数々の学校の校歌の作曲など、多岐にわたります。彼の音楽への情熱と教育に対する熱意は、後世に語り継がれていくでしょう。

もう一度検索