永井義男

永井義男は、1949年4月20日に福岡市で生まれました。福岡県立修猷館高等学校を経て、東京外国語大学外国語学部インド・パキスタン語学科を卒業しています。大学卒業後は、福武書店編集部や国際協力機構広報課に勤務した後、フリーランスとして活動を開始しました。

フリーランスとなってからは、中国古典の翻訳や著述、コピーライター、エフエムジャパンのニュース・エディターなど、多岐にわたる分野で活躍しました。また、アジア人口・開発協会では、中国の人口と開発に関する調査研究にも従事しています。

1995年、『深川猟奇心中』で小説家としてデビューを果たし、1997年には『算学奇人伝』で開高健賞を受賞するなど、作家としての地位を確立しました。時代小説を数多く執筆する一方で、江戸時代に関する評論も多数発表しており、歴史に対する深い造詣と独特の視点には定評があります。

著書は多岐にわたり、初期には『生きている行動と倫理 日本人の歴史的連続性を探る』(1985)や『性のおもしろ雑学事典 ドキドキワクワク』(1986)など、幅広いテーマを扱った作品を発表しています。その後、『「戦略・奇略」の人間学 中国古典に学ぶ』(1988)や『四字熟語新辞典 ことばと文章が生きる』(1989)など、中国古典や言葉に関する著作も手掛けています。

時代小説では、江戸時代を舞台にした作品が多く、『江戸の下半身事情』(2008)に始まり、『図説吉原入門』(2008)、『江戸の生活ウラ事情』(2009)など、江戸文化や風俗に関する詳細な描写が特徴です。また、『春画で見る江戸の性事情』(2010)や『江戸の性語辞典』(2014)など、性に関するテーマも深く掘り下げており、タブー視されがちなテーマにも果敢に挑む姿勢がうかがえます。

小説作品では、「請負い人阿郷十四郎」シリーズ、「剣豪平山行蔵」シリーズ、「平四郎茶屋日記」シリーズ、「密命斬刑帖」シリーズ、「吉原用心棒」シリーズなど、多数のシリーズ作品を執筆しており、いずれも時代小説ファンから高い人気を得ています。近年では、「秘剣の名医」シリーズや「最強の虎」シリーズ、「ご隠居同心」シリーズなど、新たなシリーズも展開しており、その創作意欲は衰えることを知りません。

翻訳家としても、『中国歴代家訓選』(1991)や『百戦奇略』(1992)など、中国古典の翻訳を数多く手掛けています。

永井義男は、その幅広い知識と独自の視点、そして卓越した文章力によって、読者を魅了し続けている作家であると言えるでしょう。時代小説の枠にとらわれず、歴史、文化、性など、様々なテーマに挑戦し続ける永井義男の今後の活躍が期待されます。

主な作品シリーズ

「請負い人阿郷十四郎」シリーズ
「剣豪平山行蔵」シリーズ
「平四郎茶屋日記」シリーズ
「密命斬刑帖」シリーズ
「吉原用心棒」シリーズ
「屋根葺き同心闇御用」シリーズ
「吉原占屋始末」シリーズ
「とんび侍喧嘩帳」シリーズ
「勇之助世直し始末」シリーズ
「蛇蝎の捨蔵」シリーズ
「秘剣の名医」シリーズ
「最強の虎」シリーズ
* 「ご隠居同心」シリーズ

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