永六輔の土曜ワイドラジオTokyo

TBSラジオで土曜日の午後に放送された生ワイド番組『永六輔の土曜ワイドラジオTokyo』（えいろくすけのどようワイドラジオトーキョー）は、1970年5月16日にスタートし、1975年3月29日まで続いた番組です。

これは、後にTBSラジオの看板枠となる『土曜ワイドラジオTOKYO』シリーズの記念すべき第1作にあたります。パーソナリティは、すでに深夜放送『パック・イン・ミュージック』や10分番組『永六輔の誰かとどこかで』で人気を博していた永六輔が務め、アシスタントは当時TBSアナウンサーで現在はフリーアナウンサーとして活躍する遠藤泰子が担当しました。

番組開始にあたっては、東京・赤坂の旧TBS社屋（現在の赤坂サカス付近）に番組開始を告げる自動車型のアドバルーンが上げられるというユニークな演出がなされました。第1回放送では、地上からは桝井論平、上空からは木村という人物がレポートを行い、華々しい幕開けとなりました。永六輔は番組冒頭で、東京で暮らす上で役立つ重要な情報を提供すること、そしてリスナーからの電話による声や知りたい情報に精一杯応えることを番組の姿勢として掲げ、リスナーとの双方向性を重視する方針を示しました。

番組の特徴の一つに、ユニークな聴取率調査がありました。番組冒頭では久米宏が団地の一棟を選び、その中で何世帯が聴取しているかを調査。正午の時報後には、毒蝮三太夫が交差点で信号待ちの車を対象に聴取状況を調べるという試みが行われました。特に毒蝮三太夫の調査では、「聴取率0%」という結果になったという逸話も残っています。後にこの聴取率調査は、両方とも同じ団地で久米宏が担当する形になりました。

また、レポーター陣による現場からの突撃レポートも人気コーナーでした。久米宏はサービスエリアである関東各地からレポートする「久米宏のなんでも中継!!」を、小島一慶も同様の企画「やじうま一慶」を担当しました。

番組は多岐にわたるコーナーを展開しました。主なものとして、「今週の特集コーナー」「秋山ちえ子の談話室」「東食ミュージックプレゼント」「永六輔の誰かとどこかで」「なんでも中継!!」「QUIZ:東京の街ここはどこでしょう」「ジャスト3時カルピスデート」「ラブリーミュージック」「蝮のおつかれさん」「テレフォンギャグ ドンドンバンバン」「こんにちはスバルです」「きょうのまとめとフラッシュインタビュー」「朝の句会」「おめでとう結婚記念日」「街で見かけた有名人」などがあり、リスナーは様々な情報やエンターテインメントを楽しむことができました。

放送時間は開始当初の土曜13:30から17:30でしたが、徐々に拡大され、1972年4月には午前と午後の2部構成（9:15 - 11:15、12:00 - 16:30）となり、それぞれに「こんにちは永六輔です」「おはようからこんにちは」（第1部）、「人間ばんざい」（第2部）といったサブタイトルが付けられました。最終的には1974年4月から番組終了まで、9:05から17:00までの長時間ワイドとして放送されました。

ごく稀に、プロ野球や高校野球の中継がフロート番組として組み込まれることもありました。

番組のテーマ音楽には、ジョン・スコットオーケストラの「アメリカンメロディ」が使用されました。また、「テレフォンギャグ ドンドンバンバン」の電話受付中には、ハーブ・アルパート＆ザ・ティファナ・ブラスの「Zorba The Greek」がBGMとして使われていました。

永六輔は、自身が参加する「芸能座」の半年にわたる巡業のため番組を降板することを決め、後任を三國一朗に託しました。これにより、番組は1975年3月にその歴史に幕を閉じました。ただし、『永六輔の誰かとどこかで』は、その後も1981年1月末まで土曜日も生放送されていたため、後継の「土曜ワイド」シリーズでもこのコーナーは継続されました。

番組終了から長い時を経た2020年3月には、TBSラジオの『ラジオアーカイブ』で最終回の模様が約1時間×2回に編集され、再放送されました。

主な出演者は永六輔、遠藤泰子のほか、桝井論平、久米宏、小島一慶、毒蝮三太夫、中村メイコ、黒柳徹子、小沢昭一、当時の東京都知事であった美濃部亮吉、ニュースキャスターの楽衛らが名を連ねていました。

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