永福寺 (埼玉県杉戸町)

永福寺の概要

永福寺（えいふくじ）は、埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野に位置する真言宗豊山派の寺院です。山号は龍燈山で、本尊には阿弥陀如来が祀られています。さらに、この寺院は「すぎと七福神」の一つである寿老人を祀る寺としても知られています。

歴史

永福寺の創建に関する詳しい記録は残されていないものの、伝承によれば天平勝宝5年（753年）に行基によって開基されたとされています。当初は阿弥陀寺と呼ばれていたと言われています。

寺の中興には興世王の妾とされる妙喜尼が関与している伝説があります。彼女は天慶3年（940年）に興世王が戦に敗れた際、自らとは逃れられない運命を感じ、寺に火を放って命を絶ちました。その結果、永福寺は大きな被害を受け、焼失してしまったのです。

しかし、天慶5年には平将門の子である抜山優婆塞が東国に下り、父の戦場で亡くなった者たちの菩提を弔うために訪れました。彼はこの地で奇跡的に埋もれていた阿弥陀仏の木像を発見し、それを理由に寺を再興させました。

その後、寺名は長福密寺に変更されましたが、江戸幕府の第6代将軍である徳川家宣の子に「長福」という名が付けられたことから、寺名を永福寺に改めるようになったとの伝承があります。ただ、寺の古い記録である『永福寺伝燈記』によれば、1759年に僧弁隆が住持となる前はすでに長福寺と称していたため、徳川家継（1709年生まれ）との時代に不一致があることが指摘されています。

その他の特徴

永福寺では「どじょう施餓鬼」という行事が行われています。これは関東三大施餓鬼の一つとされ、毎年8月22日から23日にかけて開催されます。この儀式では、生前の行いによって地獄に落ちた者を供養するため、境内の池にどじょうを放し、経文を唱える習慣があります。

この行事に参加することで、亡くなった者が「高野の施餓鬼の風にあったか？雨にあったか？」といった問いかけを受けるとされており、供養に訪れることの重要性が説かれています。この信仰は長い歴史を持ち、地域に根付いています。

また、永福寺の入口近くには「西行見返りの松」があり、訪れる人々に親しまれています。松の木には多くの物語が息づいているため、散策時には是非立ち寄ってみてください。

アクセス

永福寺へは、東武鉄道の東武日光線杉戸高野台駅から徒歩で約12分の距離にあります。周囲の自然を感じながら訪れることができるため、心の安らぎを求める方にとっても良い環境です。永福寺はその独自の歴史と行事、また周囲の風景により、訪れる価値のあるスポットとなっています。

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