永遠の栄光の前で聖ヨアキムと聖アンナをともなう聖家族

『永遠の栄光の前で聖ヨアキムと聖アンナをともなう聖家族』

この作品、『永遠の栄光の前で聖ヨアキムと聖アンナをともなう聖家族』は、スペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤによって1768年頃に制作されました。絵画は油彩で描かれ、ゴヤの初期の重要な作品の一つです。この絵は『サラゴサへのピラールの聖母の出現』の対となる作品として制作され、現在はヘレス・デ・ラ・フロンテーラにあるラス・パルマス侯爵コレクションに収蔵されています。

作品の背景

かつてこの作品は『聖家族と永遠の父』とも呼ばれていました。画中には聖霊、父なる神、聖ヨアキムと聖アンナ、聖母マリア、聖ヨセフ、幼子イエスが描かれています。このように家族が連なって描かれていることから、一部では『三世代』と名付けられることもあります。作品を発見したホセ・グディオル・リカールは、発表の際にこの絵を『聖家族』と名付けました。

描写とスタイル

絵画には、オレンジ色に輝く栄光の空の下でたたずむ聖家族の姿が描かれ、聖母マリアと幼子イエス、そして花の咲いた杖を握る聖ヨセフが描かれています。画面の上部では天使が雲を支えており、父なる神が安らいでいる姿や、鳩という形で表現された聖霊も見受けられます。オレンジ色は通常、超自然的な意味合いを持ち、天使の描写は大胆な表現が施されています。また、聖家族の近くには聖ヨアキムと聖アンナが居合わせ、彼らは静かにこの情景を見つめています。こうした描写は、家族のつながりを強調し、作品全体に「三世代」としての構造を与えています。

ゴヤはこの作品の中で、ホセ・ルサン、コッラード・ジアキント、フランシスコ・バイユーなどの影響を取り入れており、前景にいる人物たちの存在感や輝く色彩、全体的な配置がその例となります。しかしながら、ゴヤの描写には当時のアカデミックな様式からの逸脱が見られ、聖家族の描かれ方には特別な自由な技法が用いられています。このことは、聖ヨセフと聖アンナの衣服のデザインにおいて特に顕著です。グディオルは、この絵がアカデミズムを超え、ヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール聖堂の装飾における新しいアイデアを先取りしていると考えています。

制作年代の議論

ゴヤの制作年については諸説あります。ホセ・マヌエル・アルナイスは1760年から1763年の間と述べており、バレリアーノ・ボサルはその時期にゴヤの作品が現存しないと考えています。また、グディオルは1768年から1769年の時期を挙げています。これらの意見は、ゴヤがどのように成長していったかを考察する上で興味深いものです。

来歴

この絵画は、当初ナバラ地方の裕福な銀行家フアン・マルティン・デ・ゴイコエチェア・イ・ガラルサのコレクションにフィットしていました。彼はゴヤの初期の支持者であり、収集家でもありました。後にソブラディエル伯爵の2番目の夫人、マリア・ピラール・アルシバルに引き継がれ、1867年の目録に記載されています。その後、いくつかの所有者を経て、最終的に現在の所有者に渡りました。1970年にホセ・グディオル・リカールにより、ラス・パルマス侯爵夫人のコレクションから再発見されたことは、作品の過去と価値を再認識させる重要な出来事となりました。

このように、『永遠の栄光の前で聖ヨアキムと聖アンナをともなう聖家族』はフランシスコ・デ・ゴヤの才能と彼が時代に与えた影響を知る上で欠かせない貴重な作品です。

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