永野厚郎

永野 厚郎のプロフィール

永野厚郎（ながの あつお）は、1956年4月8日生まれの日本の元裁判官です。最高裁判所民事局長や司法研修所所長を歴任し、名古屋高等裁判所の長官としても知られています。彼は退官後に弁護士となり、現在は公害等調整委員会の委員長として活動しています。

学歴と司法経歴

永野は京都府に生まれ、東大寺学園高等学校を経て、1981年に京都大学法学部を卒業しました。司法修習生35期として訓練を受けた後、1981年4月には司法修習生として活動を始めました。1983年に大阪地方裁判所で裁判官補に任命され、その後、東京地方裁判所や福岡地方裁判所などで多くの経験を積みました。

永野の経歴は非常に多岐にわたります。1986年には米国ミシガン州での在外研究を経て、1988年には大蔵省国際金融局で課長補佐を務めるなど、法曹界のみならず経済分野でも活動していました。1994年には最高裁判所事務総局で制度調査室長として、その後、最高裁判所民事局長を務めました。

2010年には最高裁判所民事局長兼行政局長に任命され、2018年には司法研修所の所長に就任しました。2020年には名古屋高等裁判所の長官に就任し、2021年4月までその職を務めた後、長島・大野・常松法律事務所の顧問として活動を開始しました。

委員歴と判決

永野はまた、最高裁判所民事規則制定諮問委員会や法制審議会、産業構造審議会など、多くの委員会に参加し、法律制度の整備に貢献してきました。特に、最高裁判所民事規則制定諮問委員会では幹事として法改正の重要な役割を果たしました。

主な判決の一つには、東京高等裁判所での建築アスベスト訴訟があり、2017年に原告の敗訴となった一審判決を覆し、国と建材メーカーに対し約3億7千万円の損害賠償を命じる内容でした。この判決は、全国的にも重要な前例となりました。

また、東京地裁での薬害C型肝炎訴訟においては、国と製薬会社の責任を一部認める判決を下し、これがC型肝炎救済特別措置法の制定への道を開きました。彼は破綻金融機関の役員責任追及訴訟に関しても、重要な役割を果たしました。

公私にわたる活動

公私では、永野は多くの著名な裁判官とも対談を行い、法律に関する考察を深めています。特に、アメリカの著名裁判官ジャック・ワインスタインとの対談は、クラスアクションや集団訴訟の現状と課題に焦点を当てています。

彼の様々な活動は、法曹界における彼の影響力を示しており、今後も法制度の改善に寄与し続けることが期待されます。永野厚郎は、その経験と専門知識を活かし、今後の公害等調整委員会での活動にも大きな期待が寄せられています。

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